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映画・演劇のレビュー

『モンスターハウス』

2007-01-12 20:58:02 | 映画
 ロバート・ゼメキスとスティーブン・スピルバーグがコンビを組んで見せるアニメーション映画が、ホラースタイルの作品になってしまうのは、当然のことかも知れない。奴らはほんとにお子様だから、こういうきゃあきゃあいう作品が大好きだ。自分が見たくて製作してる。(監督はギル・キーナンとフライヤーの片隅に小さく書いてあった。)

 彼らの趣味嗜好がものすごくよくでた可愛い作品に仕上がっており、子供たちにぜひ見せてあげたいアニメ映画になっている。今、ゼメキスは完全にホラーに嵌っていて、ゴースト・キャッスルという会社を作りB級ホラーを作り続けることを楽しみにしているが、それのジュニア版としてこの作品を位置付けていいだろう。さらに、スピルバーグは『ET』の昔から子供視点が大好きで、彼自身が大きな子供だから、こういう作品を作っても何の違和感もない。かって、あのキング・オブ・ホラー『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパーと組んで、『ポルターガイスト』を作ったりしてるのだから、筋金入りである。

 向かいの家が怪しい。(というか、笑ってしまうくらいに、あきらか怪しすぎる家なのだが)その家を、日々監視続ける少年と、彼の親友である太っちょ君。さらには偶然ハロウインのお菓子を売りにきた利発そうな少女。この3人がその家を探検するというおきまりのストーリー。家の内部が迷路になっていて入ったが最期出てこれなくなる、というパターンはよくあるが、今回はそのスタイルを取らず、家というもの自身と対決する、というパターンを採っている。

 家をモンスターにして、その怪物と子供たちだけが戦う。このモンスターハウスは、最初は大人には見えないというのも、いつものパターン。お約束をきちんと守りながら、展開していくのもこの作品にはよく似合う。とても素直で行儀のいい映画なのだ。

 だから、この家の主人である気難しくて、とても怖いおじいさんが、実はとても優しい人で、彼を子供たちが助ける、というストーリーも、とてもいい。じいさんの死んでしまった奥さん(彼女はフリークで、見世物小屋でいたのを若き日のおじいさんに助けられ結婚した)の魂がモンスターハウスになっていて、人々を襲っていたというストーリーもいい。こういう単純さはこの映画によく合う。畸形ゆえ、周囲の子供たちから、恐れられ迫害されていたことが根底にあり、それで事故が起き彼女は死に、じいさんは子供嫌いになる。こういう過去の話も織り込みながら映画は当然ハッピーエンドを迎える。

 子供にしか、見えない恐怖、それと彼らが戦い、大切なものを手に入れる、というとても分かりやすいストーリーなのに心に沁みてくる。CGアニメは嫌いだが、この映画のやわらかい動きは、嫌ではなかった。何よりも製作者である2人組が嬉々として楽しみながら、作っているのが伝わってくるのがいい。もちろんたいした映画ではない。でも、悪くはないし、何より、映画自体が可愛いのがいい。


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