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映画・演劇のレビュー

劇団きづがわ『追憶のアリラン』

2016-12-31 01:02:25 | 演劇
この芝居とは直接関わり合うことはない個人的なことだが、この夏、僕も韓国に行ってきた。10数年前、初めて訪れた釜山を再訪した。今度もいつもと同じように徒歩での街歩きが中心で、今回はどちらかというと、観光地ではなく、なんでもないところばかりを見て来た。だから、あまり有名なところには行ってない。どちらかというと、人があまり行かないところが中心で、やはり楽しい。(まぁ、前回行った時、おのぼりさん状態だったから、めぼしい所はもれなく駆け足でまわったからなのだが)
慶州にもまた、行ってきた。前回圧倒的におもしろかった仏国寺ではなく、今回は骨窟寺をピンポイントで見に行った。林田さんのように勉強はしないけど、街を歩くと、そこで暮らす人たちのいろんな姿が垣間見える。





さて、お芝居である。半年前の初演と、印象は基本的には変わらない。(まぁ、6ヶ月では変えようがないけど)前回は、まだ荒削りのまま提示したものを、ブラッシュアップして、全体がもっとスムーズに流れていくようにした。時間が足りず、未完成だったところに磨きをかけて自分たちが見せたかったものを納得がいく形で見せようとしたようだ。新しい演出で見せようとするのではなく、完全版を目指そうとした。



演出の林田さんはこのお話をよりシンプルで、ストレートなものとして見せたかったのだろう。それでいいと思う



これは戦中戦後の日本と朝鮮のお話に留まらない。人と人とが、民族と民族が、どんなふうに向き合い、理解していくべきなのかを描く作品だ。単純なお話ではない。だからこそ、ここに描かれる難しい問題のひとつひとつを乗り越えていかなくては、我々の未来はない、と、肝に銘じておくべきだと思う。



歴史のお勉強ではなく、人がそこで暮し生きて、それが他者によって蹂躙されていく。そんな歴史に犠牲になった人たちの姿を描く。そのためには、描かれるひとりひとりを丁寧に見せていくしかない。
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