こういうエンタメ芝居が力を持つのは、主人公の気持ちがどこまでストレートに観客のもとに届くか否かによる。城田邦生さんはそこを見事に抑えている。しかも、見せ方も上手いから、2時間の作品を、一瞬もダレることなく、一気に見せ切る。最高のエンタテインメントをここに提示するのだ。
阿国の「踊りたい」という熱い想いが、素直に伝わってくる芝居になっている。彼女が抱えることとなる困難な状況も、わざとらしい展開にはさせずに、その上、嘘臭くもなく、無理なく自然に描かれてあるのがいい。観客がちゃんと主人公に寄り添えるようになっている。これは痒いところにもきちんと手が届くような芝居なのだ。だから、正直に「おもしろい!」と言える。
狭い舞台を縦横に使って、このささやかだけど壮大なドラマを見せる。次のシーンを演じる役者がシーンの終わりには舞台で控えているのもいい。とてもスピーディーにシーンが展開する。短いシーンをどんどん積み重ね、早いタッチで話を展開していく。しかも、最後まで主人公の阿国に踊らせないのも、心憎いばかりの配慮だ。彼女のダンスはクライマックスまでのお預けにして、見せ場をちゃんと演出する。お約束通りに作られてある。もどかしさまで武器にする。たった7人の役者たちが見事だ。 彼らは当然、ヒロインである阿国を演じる田所草子をちゃんとサポートする。
これは彼女を中心にしたアンサンブルプレイなのだ。この作品は、彼女のためのものである。そのことを作、演出の城田さんも、周囲のキャストもちゃんと理解している。もともと彼女の一人芝居だった30分ほどの作品をバージョンアップして、長編にしたのだから、それは当然のことなのだ。そんなことも含めて、作品は作り手のねらい通り、ピタリと嵌っている。だから、心地よい。
悪役の菊池祐太も、雰囲気があっていい。この役は、変に大柄でいかつく、いかにも悪そうな役者を使うよりも、彼のような小柄で、弱々しそうなキャラが演じるから、反対に説得力が出て来る。これはキャスティングの勝利だ。
阿国の「踊りたい」という熱い想いが、素直に伝わってくる芝居になっている。彼女が抱えることとなる困難な状況も、わざとらしい展開にはさせずに、その上、嘘臭くもなく、無理なく自然に描かれてあるのがいい。観客がちゃんと主人公に寄り添えるようになっている。これは痒いところにもきちんと手が届くような芝居なのだ。だから、正直に「おもしろい!」と言える。
狭い舞台を縦横に使って、このささやかだけど壮大なドラマを見せる。次のシーンを演じる役者がシーンの終わりには舞台で控えているのもいい。とてもスピーディーにシーンが展開する。短いシーンをどんどん積み重ね、早いタッチで話を展開していく。しかも、最後まで主人公の阿国に踊らせないのも、心憎いばかりの配慮だ。彼女のダンスはクライマックスまでのお預けにして、見せ場をちゃんと演出する。お約束通りに作られてある。もどかしさまで武器にする。たった7人の役者たちが見事だ。 彼らは当然、ヒロインである阿国を演じる田所草子をちゃんとサポートする。
これは彼女を中心にしたアンサンブルプレイなのだ。この作品は、彼女のためのものである。そのことを作、演出の城田さんも、周囲のキャストもちゃんと理解している。もともと彼女の一人芝居だった30分ほどの作品をバージョンアップして、長編にしたのだから、それは当然のことなのだ。そんなことも含めて、作品は作り手のねらい通り、ピタリと嵌っている。だから、心地よい。
悪役の菊池祐太も、雰囲気があっていい。この役は、変に大柄でいかつく、いかにも悪そうな役者を使うよりも、彼のような小柄で、弱々しそうなキャラが演じるから、反対に説得力が出て来る。これはキャスティングの勝利だ。