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映画・演劇のレビュー

『インフェルノ』

2016-11-04 22:38:14 | 映画
こんなタイトルだけど、もちろんホラー映画ではない。トム・ハンクス主演のミステリー映画。というよりも、『ダ・ヴィンチ・コード』、『天使と悪魔』に続くロバート・ラングドン教授シリーズの最新作。今回の題材はダンテ。『神曲』の地獄篇の挿絵となったボッティテェリの『地獄の見取り図』から始まる。



人類が死滅する細菌を拡散させようとする狂信者から世界を救え、というようなお話。なんだか、嘘くさいし、スケールが大きいけど、リアルからは程遠い荒唐無稽なお話のパターン。悪の秘密結社がやりそうな計画で、それを解決するヒーローをトム・ハンクスが担う。でも、なんだか頼りない。



シリアスなタッチの映画なのだけど、計画が計画だけにアンバランス。絵画に託された謎を解明するために残された時間はたった1日で、フィレンツェを皮切りにしてイタリア中を駆け回るのだが、観光映画だし、のんびりしている。緊張感はあまりない。最後にはイスタンブールの地下宮殿でのコンサート会場。ドキドキハラハラのはずなのだが、なんだかなぁ、の出来。監督はロン・ハワードだし、それなりの大作で見せ場も満載しているのだけど、やはり、なんだか、間抜け。冒頭の夢のシーンで、予告編でも散々見せられた派手な地獄絵図を見せてくれるのだが、所詮は夢のシーンですから、そこが売りにはならない。



お話は逃げるふたりとそれを追う謎の組織。誰が味方で誰が敵かもわからないまま、話がどんどん進んでいく。謎が謎を呼ぶというよくあるパターンだけど、あまり危機感がないのは先にも書いた通り。この手のシリーズものばかりのハリウッド大作映画だが、飽きもせずについつい見てしまうのは、映画ならではの楽しさに飢えているのだろう。大きなスクリーンで手に汗握るワクワクを体験したい、という映画に求める原初的な図式。でも、最近はそんな欲求を満たしてくれる作品が少ない。『ジェイソン・ボーン』『スター・トレック』とそこそこには楽しめるし、出来が悪いわけではない映画が続くけど、もっと突き抜けた映画はないのか。次に期待。
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