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映画・演劇のレビュー

『ジョーカーゲーム』

2015-02-19 21:08:03 | 映画
107分という上映時間がいい。そこは譲れないと思ったのだろう。これは戦争映画ではない。スパイ・アクション映画なのだ。一見すると、重いタッチに見せかけて、実はとても軽い映画だ。

冒頭の陸軍による過酷で不条理な訓練を見せるシーンの重いトーンに騙されてはならない。というか、別にそこで騙すとか、騙されるとか関係ないのだけど。でも、これは諜報戦のお話で、騙し騙されのお話なので、それはそれでいいかぁ、とも思う。上官に暴行をふるった罪で銃殺されるはずだった主人公は、助けられて、スパイとなる。

そのスパイとなるための訓練シーンがおもしろい。D機関に入り、特殊な能力を持つメンバーの一員となる。そこにはいろんな奴がいる。こんなのが実際在ったかどうか、なんてどうでもいいけど、バカバカしいのに、なんだかリアル。このへんくらいからこの映画のタッチが見えてくる。

これは戦時下の日本軍の暗部を描く『真空地帯』のような映画ではないのだ。(というか、そんな映画、誰もしらんやろ)見ているうちにだんだんわかってくる、これは『007』と『ルパン三世』を足して2で割ったようなおバカ映画なのだと。初期設定に惑わされて、これをシリアスな戦争秘話だと思ったりしたなら、肩透かしを食う。でも、そこでガッカリしても始まらない。(そういう人は、『真空地帯』でなくてもいいからせめて『陸軍中野学校』でどうだ。あるいは『兵隊やくざ』とか、そんなのを見ましょう。)だって、これはバカバカしくて楽しい映画なのだ。

 アメリカが作った新型爆弾(原爆か?)の設計図が記されたブラックノートを奪え、というのが、今回彼の課された指令だ。列強だけではなく、陸軍も出し抜いて手に入れろ、ということだ。イギリス、フランス、ソ連のスパイも盗み出すために躍起になる。でも僕らの亀梨和也は、負けない。見事潜入して手に入れる。でも、なんと、深田恭子の女盗賊に奪われる。(深きょんは、もう峰不二子です)さぁ、どうする、こうする。

 そんなこんなのハラハラドキドキなのである。『サイタマノラッパー』の入江悠監督は、このエンタメ映画を見事コントロールして、堂々の商業映画デビューだ。しかも、これはちょっとしたメジャー大作だし。(昨年、12月に見た彼のメジャーデビュー作『日々ロック』はこの映画の後に撮られたらしい。驚きだ)彼の今後の活躍が楽しみだ。それにしても、何の実績もない(この手に映画に対して、という意味だ)彼にこれだけの大作を任せたプロデューサーは凄い。

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