習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『音符と昆布』

2008-02-24 09:27:51 | 映画
 この語呂合わせのタイトルが、示すのは主人公であるアスペルガーの女性(池脇千鶴)のとてもシンプルな内面世界。昆布茶漬けが大好きで、音符の形をした街灯の写真を集めている。この2つに象徴されるものが今の彼女のすべてだ。

 映画はそんな彼女が母を失いひとりぼっちになり、今まで会った事のない腹違いの妹(市川由衣)のもとを訪れることから始まる。

 父と2人で平和に暮らしていた。父が旅行に行き、これ幸いとボーイフレンドを招き2人でまったり過ごしていたのに、そんなところに訳の分からない女がやって来る。しかも自分の姉だと言う。「そんなこと知らないよ」と思う。父に電話したなら、正直に「隠していたが、実は」なんて言われる。青天の霹靂とはまさのにこのこと。

 こんなふたりが、距離を取りながら、なんだか気付くと近くに居る。そんな姿が描かれる。

 75分の短い映画である。登場人物もほんの数人しかいない。お話も単純そのもの。なんだか少女マンガの短編を読んだ気分。これで1本の映画だなんて言われても、なんだかなぁ、と思う。あっさりしてたわいない。こんなもの見てそれで何と言えばいいのか、よく分からない。だから、ほんとはここに何も書くことないのだ。

 でも、それってなんだか凄い。これがDVDで見たのなら無視するところだ。なのに、これがなんと東宝系劇場でロードショー公開されてしまった、そのことに驚いているのだ。数ある映画の中で何故こんなにも小さな映画が劇場公開されたのだろう。映画というものが多様化していく中、不思議なことが起こる。ことさら公開するほどの映画とは思えない。悪いとも思わないが。

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