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映画・演劇のレビュー

『彼は秘密の女ともだち』

2016-05-06 19:13:41 | 映画

 

フランソワ・オゾンがまたまたとんでもない映画を作ってくれた。それほど突飛なお話ではないけど、彼の魔術にかかったら、なんだか、とんでもなくヘンテコで不思議な映画になる。

 

7歳の時に出逢った女の子。生涯の友となる。ふたりの少女の友情物語か、と思わせて、どんどん話は進み、彼女が死んでしまう。葬式のシーンになる。まだ、始って何分もたってないんだけど。ふたりとも幸せな結婚もして、彼女は赤ちゃんを産んだところだ。なのに、あっけなく死ぬ。主人公のひとりが死んじゃったよ、とオロオロする。じゃぁ、この映画はどんなお話になるのやら、と心配になる。そこで主人公は遺された彼女の旦那と娘(赤ちゃん)の面倒は私が看る、と葬式で豪語した。

 

でも、最愛の彼女の死のショックからはなかなか立ち直れない。自分の夫なんかよりも、もっともっと彼女のほうが大事。(優しくていい旦那さんなのに、でも、仕方ないかぁ)そんなこんなで、ようやく彼女の夫のもとに行く。で、そこからがお話の本題なのだ。彼が死んだ彼女の服を着て赤ちゃんにミルクをあげていた!

 

女装癖は彼女の生前からあった、らしい。泣き叫ぶ赤ちゃんをあやすため、母親の匂いの残る服を着て、母親として接した。冗談のようなお話がここからスタートするのだが、オゾンなので、コメディではない。彼の女装を助けるうちに彼女は彼の中に死んだ親友の面影を見出すとか、なんだこれは、の展開。当然彼の秘密は夫には内緒。だから、いらぬ勘ぐりを受ける。でも、それはもしかしたら、屈折した恋愛感情にも進展。

 

先日見たジャック・ドワイヨンの『ラブバトル』も大概な映画だったが、この映画の描く恋愛もふつうじゃない。日本版タイトルそのままのお話なのだが、紆余曲折はあるけど、きちんと筋を通してしまう。なんだかとんでもない映画で、僕は好き。


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