2時間35分の大作である。マイク・リー監督渾身の一作。でも、彼らしい作品で悪くはないけど、なんだかなぁ、と思う。まるで感情移入できないのだ。俯瞰的視点から客観的に描くのが悪いとは思わないけど、これでは見ていて退屈する。ドキュメンタリーでも、もう少し作者の視点が明確に描かれる。それにそうならないと見るのがしんどい。
主人公はいない。群像劇というわけでもない。誰も描かない。ただ、そこで起きたことをそのまま描くばかり。それがこの映画のスタイルだし、それが面白いのなら、いいけど、僕はただただ退屈するばかりだった。こんなはずじゃないのに、と思いつつも、どうしようもない。クライマックスの虐殺のシーンも事実を映像化しただけ。それを通して何を伝えたいのか、わからない。
凄い映画なのかも知れないけど、なんか、僕の胸には沁みてこない。膨大な登場人物たちにも共鳴できない。いい人もわるい人も、である。見終えて残ったのは疲労感だけ。
これは200年前の不幸な出来事を描くのではなく、権力側の横暴と残虐な行為を見せることでもない。さらにはそこに生じる無力感を描くのでもない。この事実を通してそこから何を感じるのかを提起しようとするのだろう。だが、残念だが、これでは伝わらない。