久々に伊坂幸太郎の新作を読むことができた。図書館で予約するといつまでたっても順番が回ってこないから、もうあきらめるというのがパターンなのだけど、(まぁ、そこまでして読みたいとは思えないからだけど)今回はうまく読む機会を手にしたので、読み始めた。相変わらずのお話で、楽しいし、この先どうなるのか、気になるから読み始めたら止まらない。ただ、一気に読むには少しボリュームがあるし、疲れるので2時間ずつで3回に分けて読むことにする。
劇中劇である(生徒が書いている小説ですが)ネコジゴハンター(猫を虐待した奴らに復讐のお仕置きをする)の話と、中学教師である檀先生の〈先行上映〉(飛沫感染により、少し先の未来が一瞬見える、なんていう設定はいかにもコロナ禍で書かれた小説ですね)の話が交互に描かれる。行方不明になった生徒の父親の謎を追いかけるところから話は急展開していく。ここまでで読み始めて、2時間。120ページくらいのところか。400ページくらいの小説なのでこのペースで読むと約7時間。
楽しい。テンポは悪くはないし。休憩を入れながら1日で最後まで読むことになる。だけど、途中からなんだなぁ、と思うことになるのは、お話が広がらないし、一向に急展開もしないからだ。なんだか伊坂幸太郎らしくはない。しかも、交互に描かれる小説の二人組の話と、檀先生のお話がようやく重なり合うところから、ますますペースダウンしていくんだけど、どうなっているのか。読みながらなんだかオロオロしてしまう。こんなはずじゃなかったのに、と思う。
3分の2まで読んで、休憩後、一気にラストまで読もうとしたところで、なんだか息切れしてきた。もちろん、僕ではなくて伊坂さんが、ね。クリニックでの籠城事件と、後楽園球場での事件が、同時進行するクライマックスがまったく盛り上がらない。これまでの伊坂小説のスピード感がない。どういうことか、と思いつつ、読み終えた。
最後まで読むと、それなりには納得もいく小説にはなっている。だけど、僕は物足りない。7時間かけてこれだけ?って気分だ。