このバカなタイトルに惹かれて読むことにした。もちろん山本幸久だから安心して読める。
体調を崩して仕事を辞めて実家に戻ってきた30代になる女性、静香が主人公。東京の大手商社でバリバリ働いていた彼女が練り物屋の実家の援助で屋台のおでん屋を始める。そこでの常連たちとのやり取りがお話の中心を担う。
パターンだが、さまざまな人たちがここにやって来ていくつものドラマが生まれる。そこで静香が彼らを見守り応援することで彼らは立ち直ったり、成長したりする。同時に静香も前進していく。偶然と必然が作用して彼女の屋台は彼女の未来につながる。
仕事と恋愛についての物語は昔からの定番。この作品でも隠し味になっている。屋台のおでん屋が彼女の人生において一番大事なものを作る。みんなが助けてくれる。みんなを助ける。これは読んでいて元気を貰えるそんな小説である。