これはなんとも辛い映画だ。見ていて暗澹たる気分にさせられる。映画自体は、このストレートなタイトルそのままの内容なのだが、詩的で美しいだけの映画ではない。ちゃんとシビアな現実を突きつけて来る。そこがしんどいのだ。
借金を抱えて、行き場のない夫婦が、住む場所、働く場所を求めて車に乗って日本中を旅する。だが、50代後半の男にはどこにも仕事はない。ハローワークに通い詰めるが、どこでも断られる。しかも、定住するのではなく、旅の途上で先々のハローワークに行くのだから、余計に難しいだろう。地方で旅の途上の夫婦なんかを雇うような会社はない。温泉かパチンコ屋か何かで、夫婦住み込みで働けたならいい、と思うが、この不況である。それも無理。
ワゴン車を寝床にして、車で生活する。当然のように妻の病状が進行するからどんどん状況は悪くなる。お涙頂戴ではない。かなりシビアできつい映画だ。こういうロードムービーはありそうでない。
三浦友和が、とてもいい。世界の果てで生きる夫婦を、はかなげな石田ゆり子とともに、見事に見せる。とてもいい人、なのだが、これではダメだろうと、思わせる。その微妙なバランス感覚がこの映画のよさだ。単純には割り切れない。よくわからない感じが、この作品にはある。夫のことを「おっさん」と呼ぶ妻についても一切説明はない。年が離れた夫婦だから、そんなのもあるのか、とも思うが変な感じだ。でも、その変さ、が魅力なのだ。
大体2人でこんなふうに旅をする必然性もない。今まで一緒に居ながらここまで、一緒ではなかったから、この旅がふたりにとって、これが初めての旅となる。旅することで夫婦の絆が深まる。だが、それって終わりに向けての儀式でしかない。やがて、死ぬ、それがわかって初めて成立する。そんな危うさが、この映画にはある。単純なストーリーなのだが、映画は単純ではない。死ぬまで病院にも入れず妻を引きずりまわしたということで、彼は、罪に問われる。でも、彼は晴れ晴れしている。後悔はない。
真面目でいい映画だとは思うが、如何せん重すぎた。見終えたとき、ぐったりとなる。とても疲れた。
借金を抱えて、行き場のない夫婦が、住む場所、働く場所を求めて車に乗って日本中を旅する。だが、50代後半の男にはどこにも仕事はない。ハローワークに通い詰めるが、どこでも断られる。しかも、定住するのではなく、旅の途上で先々のハローワークに行くのだから、余計に難しいだろう。地方で旅の途上の夫婦なんかを雇うような会社はない。温泉かパチンコ屋か何かで、夫婦住み込みで働けたならいい、と思うが、この不況である。それも無理。
ワゴン車を寝床にして、車で生活する。当然のように妻の病状が進行するからどんどん状況は悪くなる。お涙頂戴ではない。かなりシビアできつい映画だ。こういうロードムービーはありそうでない。
三浦友和が、とてもいい。世界の果てで生きる夫婦を、はかなげな石田ゆり子とともに、見事に見せる。とてもいい人、なのだが、これではダメだろうと、思わせる。その微妙なバランス感覚がこの映画のよさだ。単純には割り切れない。よくわからない感じが、この作品にはある。夫のことを「おっさん」と呼ぶ妻についても一切説明はない。年が離れた夫婦だから、そんなのもあるのか、とも思うが変な感じだ。でも、その変さ、が魅力なのだ。
大体2人でこんなふうに旅をする必然性もない。今まで一緒に居ながらここまで、一緒ではなかったから、この旅がふたりにとって、これが初めての旅となる。旅することで夫婦の絆が深まる。だが、それって終わりに向けての儀式でしかない。やがて、死ぬ、それがわかって初めて成立する。そんな危うさが、この映画にはある。単純なストーリーなのだが、映画は単純ではない。死ぬまで病院にも入れず妻を引きずりまわしたということで、彼は、罪に問われる。でも、彼は晴れ晴れしている。後悔はない。
真面目でいい映画だとは思うが、如何せん重すぎた。見終えたとき、ぐったりとなる。とても疲れた。