昨年たまたま読んだ『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』が実に面白くて、これを映画にしたらきっと面白い、と思った。誰もがそう思うみたいで、その後、やはり映画化が決まり、なんと監督は三木孝浩。この12月に公開される。
京阪沿線がちゃんと舞台になるようで、よかった。主人公の家が交野で、大学は京都。そんなローカル色もちゃんと踏まえてくれるようでうれしい。舞台を勝手に安易に東京に変えて映画化、というバカなパターンにはならなくてよかった。
さて、そんな七月隆文の新作である。こういうライトノベルを読むのは少し恥ずかしいけど、面白いのなら問題ない。学園一のイメメン男子と、何のとりえもないドジな女の子。もう手垢のついた設定。でも、敢えてそういうベタな設定を踏襲する。実はそれもまた、この小説の挑戦だ。入口はそこだけど、単純な胸キュンのラブストーリーにはしない。タイトルに「名推理」とあるけど、安易なミステリー仕立てにもしない。パティシエを目指す彼とケーキ大好き少女。ふたりの関係を納得の図式にして仕上げる手綱裁きはさすが。
読んで元気にさせられるのは、ふたりの関係をちゃんと描けたからだ。お互いがお互いを信頼できる。その図式が作れなくてはムリ。ケーキを巡る短編連作というスタイルもある種のパターンでとことんパターン重視のお話作りも作者の狙いだろう。あざといくらいに上手い。一瞬で読める。幸せな気分になれる。
京阪沿線がちゃんと舞台になるようで、よかった。主人公の家が交野で、大学は京都。そんなローカル色もちゃんと踏まえてくれるようでうれしい。舞台を勝手に安易に東京に変えて映画化、というバカなパターンにはならなくてよかった。
さて、そんな七月隆文の新作である。こういうライトノベルを読むのは少し恥ずかしいけど、面白いのなら問題ない。学園一のイメメン男子と、何のとりえもないドジな女の子。もう手垢のついた設定。でも、敢えてそういうベタな設定を踏襲する。実はそれもまた、この小説の挑戦だ。入口はそこだけど、単純な胸キュンのラブストーリーにはしない。タイトルに「名推理」とあるけど、安易なミステリー仕立てにもしない。パティシエを目指す彼とケーキ大好き少女。ふたりの関係を納得の図式にして仕上げる手綱裁きはさすが。
読んで元気にさせられるのは、ふたりの関係をちゃんと描けたからだ。お互いがお互いを信頼できる。その図式が作れなくてはムリ。ケーキを巡る短編連作というスタイルもある種のパターンでとことんパターン重視のお話作りも作者の狙いだろう。あざといくらいに上手い。一瞬で読める。幸せな気分になれる。