伊坂幸太郎の原作小説の映画化には、まず、はずれがない。話自体が面白いのだから、そこをちゃんと再現したなら、出来のいい映画になるのは必然だ。
だが、それって、実はかなり難しいことなのだ、ということがこの映画を見てよくわかった。今までこんなにも面白かったのは、当たり前の話なのだが中村義洋監督の力だったのである。そんなことに改めて気づかされる。
今までの映画化作品の歴史を振り返ればいい。これが記念すべき10作目になるらしい。今までの映画化作品はみんな見ている。そして、そのベスト4はみんな中村作品だ。これまでに彼は4作品を映画化している。要するにそれがすべて、ということだ。5位は森淳一の『重力ピエロ』。もちろん、それは僕のベスト5で普遍性はない。でも、きっとみんなが納得する。
今回の作品のダメさは監督の力量だけではない。お話自身があまりに危うい。いつも伊坂作品は綱渡りだが、今回はちゃんと渡り切れてはいないのが難点だ。要するに、原作にも不備がある。話に説得力がない。でも、そんなこと最初からわかっていた話だ。だいたい4人の父親という基本設定からしてムリムリ。でも、そこから話を紡ぎ始めた以上これは最初からファンタジーなのだと居直るしかない。それを踏まえたうえで映画はどれだけ心地よく観客を酔わせるかが勝負所であろう。リアルをベースにしながら、うまくファンタジーの世界へと橋渡しするだけの力量が、新人の藤井道人監督にはない。この匙加減は確かに難しい。だが、それをわかっていて、これを取り上げた以上は、そこはちゃんとして欲しかった。
主人公に岡田将生を起用したのはよかった。まさか、まだ彼に高校生を演じさせるなんて、冗談にもほどがあるけど、そんな嘘臭さ(胡散臭さ)が今回は必要なのだ。だって、これはとんでもなく、嘘臭い話だから。それに拮抗できるだけのキャラクターがここにはいる。そういう意味ではキャスティングはいい。後は、世界作りだ。そこで、失敗している。話はもっと緻密でなくてはならない。台本に難がある。こんなにも突っ込みどころ満載ではまずい。もっと心地よく、この嘘に酔わせて欲しい。詰めが甘いからそうなる。中村義洋監督に弟子入りして、伊坂作品の映画化のノウハウをちゃんと勉強してもらって、出直して来ればいい。
だが、それって、実はかなり難しいことなのだ、ということがこの映画を見てよくわかった。今までこんなにも面白かったのは、当たり前の話なのだが中村義洋監督の力だったのである。そんなことに改めて気づかされる。
今までの映画化作品の歴史を振り返ればいい。これが記念すべき10作目になるらしい。今までの映画化作品はみんな見ている。そして、そのベスト4はみんな中村作品だ。これまでに彼は4作品を映画化している。要するにそれがすべて、ということだ。5位は森淳一の『重力ピエロ』。もちろん、それは僕のベスト5で普遍性はない。でも、きっとみんなが納得する。
今回の作品のダメさは監督の力量だけではない。お話自身があまりに危うい。いつも伊坂作品は綱渡りだが、今回はちゃんと渡り切れてはいないのが難点だ。要するに、原作にも不備がある。話に説得力がない。でも、そんなこと最初からわかっていた話だ。だいたい4人の父親という基本設定からしてムリムリ。でも、そこから話を紡ぎ始めた以上これは最初からファンタジーなのだと居直るしかない。それを踏まえたうえで映画はどれだけ心地よく観客を酔わせるかが勝負所であろう。リアルをベースにしながら、うまくファンタジーの世界へと橋渡しするだけの力量が、新人の藤井道人監督にはない。この匙加減は確かに難しい。だが、それをわかっていて、これを取り上げた以上は、そこはちゃんとして欲しかった。
主人公に岡田将生を起用したのはよかった。まさか、まだ彼に高校生を演じさせるなんて、冗談にもほどがあるけど、そんな嘘臭さ(胡散臭さ)が今回は必要なのだ。だって、これはとんでもなく、嘘臭い話だから。それに拮抗できるだけのキャラクターがここにはいる。そういう意味ではキャスティングはいい。後は、世界作りだ。そこで、失敗している。話はもっと緻密でなくてはならない。台本に難がある。こんなにも突っ込みどころ満載ではまずい。もっと心地よく、この嘘に酔わせて欲しい。詰めが甘いからそうなる。中村義洋監督に弟子入りして、伊坂作品の映画化のノウハウをちゃんと勉強してもらって、出直して来ればいい。