三浦しをんの弱小大学の駅伝部が箱根駅伝を目指していく『風が強く吹いている』には負けるけど、こちらも胸にきゅんとくる作品で、ページを繰る手が止まらない。サッカーで挫折した少年が、高校に入って陸上部に入り、初めての競技に戸惑いながらも、走ることの単純さ、その魅力に取り憑かれ、ショートスプリンターとして、そして、チームリーダーとして、高校でのクラブ活動に、全力を尽くしていく日々が描かれていく。もう文句なしの正統派の青春小説だ。
普通の高校生が、インターハイ目指し、頑張ってる姿は、きっと日本中、どのスポーツにおいても、チームのレベルに差はあれ、誰もが体験していることであろう。トップクラスの選手を主人公にするのではなく、どこにでもいるような男の子が、努力して少しずつ成長していく姿を見ているのは、とても気持ちがいい。
小さな大会から、大きな大会まで、その一つ一つを丁寧に描いていきながら、『風が強く吹いている』と違って走っている姿を延々と描くことが中心ではなく、100Mとか200Mといったショートスプリントが中心なので、走っている瞬間よりも、それまでの時間を中心にして描かれていく。
森絵都の『DIVE』はスポ根の典型を見せながら、何かの夢中になっている姿の美しさを見事なまでに描いたが、佐藤多佳子は普通の高校生の3年間をリアルに描いていくことによって、大切なものって何なのかをしっかり見せてくれる。
スポーツなんて、しんどいだけだが、そのしんどさの先にあるものを知っているから、僕たちは、いつまでやってもやめられない。ドキドキするような瞬間をすり抜けていったときの快感。信じられないようなプレーをしてしまったときの喜び。あれを知ってしまったら、やめれないよなぁ。
「どのレースも本当は1回きりだということ。二度とは出来ない。大会の規模にかかわらず、そのメンバーで、その時の走った。そのレースは1回きりだ。」当たり前のことだけど、そんな気持ちがしっかり描かれているから、この小説は信用できる。
もう少し引用しておく。
「部が選手を育てるんだって、いい選手といい指導者がいても、まわりに競い合ういい仲間がいないと、なかなか伸びないものだなって。部員同士が影響を与え合って、練習であいつがここまで頑張るなら俺も、とか。試合であいつがここまでやれるなら俺もとか、相乗効果で全体が、レベルアップしていくのが理想だって」
その通りだよなぁ、と改めて思う。
普通の高校生が、インターハイ目指し、頑張ってる姿は、きっと日本中、どのスポーツにおいても、チームのレベルに差はあれ、誰もが体験していることであろう。トップクラスの選手を主人公にするのではなく、どこにでもいるような男の子が、努力して少しずつ成長していく姿を見ているのは、とても気持ちがいい。
小さな大会から、大きな大会まで、その一つ一つを丁寧に描いていきながら、『風が強く吹いている』と違って走っている姿を延々と描くことが中心ではなく、100Mとか200Mといったショートスプリントが中心なので、走っている瞬間よりも、それまでの時間を中心にして描かれていく。
森絵都の『DIVE』はスポ根の典型を見せながら、何かの夢中になっている姿の美しさを見事なまでに描いたが、佐藤多佳子は普通の高校生の3年間をリアルに描いていくことによって、大切なものって何なのかをしっかり見せてくれる。
スポーツなんて、しんどいだけだが、そのしんどさの先にあるものを知っているから、僕たちは、いつまでやってもやめられない。ドキドキするような瞬間をすり抜けていったときの快感。信じられないようなプレーをしてしまったときの喜び。あれを知ってしまったら、やめれないよなぁ。
「どのレースも本当は1回きりだということ。二度とは出来ない。大会の規模にかかわらず、そのメンバーで、その時の走った。そのレースは1回きりだ。」当たり前のことだけど、そんな気持ちがしっかり描かれているから、この小説は信用できる。
もう少し引用しておく。
「部が選手を育てるんだって、いい選手といい指導者がいても、まわりに競い合ういい仲間がいないと、なかなか伸びないものだなって。部員同士が影響を与え合って、練習であいつがここまで頑張るなら俺も、とか。試合であいつがここまでやれるなら俺もとか、相乗効果で全体が、レベルアップしていくのが理想だって」
その通りだよなぁ、と改めて思う。