これは最新短編集。今人気爆発中の一穂ミチ。どんどん新刊が出る。初めて読んだ時は、まさかこんはふうにブレイクするとは思わなかった。あれ(『きょうの日はさようなら』)はYA小説だったけど、とてもよく出来ていて、夢中になった。続けて出版された彼女初の一般書『スモールワールズ』を読む。それからは出るたびにすぐ読んでいる。
だけど、最近は少し不発気味。連打しすぎてネタが尽きたのか。今回はまるで普通。最後まで読んで、少しガッカリした。中にはいくつか面白いものもあるが、相対的に平凡な出来。特にショートショートがつまらない。(ある程度の分量があるものはそれなりに読みごたえはあるけど)
13篇は5つの項目に分類されて収められてある。冒頭のsweetの3篇は平凡。ここで躓いた。恋愛もの。少し特異な設定。可もなく不可もなく。それよりもまず面白いと思うものを書こう。
『ごしょうばん』、『BL』、『sofa&…』、『神さまはそない優しない』そして最後の『透子』。いずれも幾分長めの作品。描かれるのは短編だけど長い時間。切ない想い。ある種の世界観の提示から展開する物語が彼女の身上なのだ。それはそれなりの分量がないと不発に終わる。それだけの話。この5つは長編にしたらかなり面白いものになりそうだ。まだまだネタ切れのはずはない。次回の長編に期待しよう。