なんだか、いいなぁ、と思った。何がいいのか、というと、みんなが着物を着ていて、なんだか、優雅で楽しそう。なんと今回は川口ゆう子さんが登場するのだ。チラシにはさりげなく「演奏、菊徳優子」と書かれてあったけど、それが川口さんだなんて劇場に入るまで知らなかった。(まぁ、知ってる人はみんな知ってたんだろうけど)川口さんはあみゅーずの創立メンバーだ。そんな彼女が三味線を奏でる。(なんと彼女は当道音楽会所属師範で、琴友会会員で、要するにこの道のお師匠さんなのだ!)
今回は時代劇3本立。今年で5年目を迎えるあみゅーずの「しゃば・ダバ・だぁ リーディング」。毎回様々な意匠を試みる。主宰の条あけみさんだけでなく、みんなが楽しんでいる。そんな姿勢が素敵だ。ほぼ、毎回同じ時期の公演で、レギュラーメンバーなのも、いい。夏の風物詩みたくなっている。
今回の3篇はいずれも、庶民の哀歓を温かく、ほろ苦く描く珠玉の作品ばかり。そこで、これらのお話をどう楽しんでもらおうかと、毎回さまざまな工夫を凝らすのが彼女たち。こういう「おもてなし」の姿勢が素敵なのだ。単純なリーディングではないけど、あくまでもリーディングに拘るのもいい。とても短くて、でも素敵なお話を伝えたい。その時、できるだけ、楽しく見せたい。ただそれだけのお話なのだ。でも、それ以上の何が必要か、と思う。それがすべてではないか。こんなにも、気持ちのいい時間を毎回提供できるあみゅーずという集団の在り方は、20年以上の積み重ねの成果だ。これからもずっと続けていって欲しい。