怒濤の園子温3カ月3連続の第2作。彼は今、一時の三池崇史状態になっている。今まさに絶頂期にある園子温が念願の企画を実現させたのがこの作品であるらしい。20数年前から温めていた妄想が実際に映画化されるなんて本人も思いもしなかったのではないか。勢いというのは恐ろしい。なんでもやれる。もちろん、そんな幸せな人は世界広しといえども、ほんの一握りだろうし、それが今の彼なのだ。『自転車吐息』の頃からずっと見ているから、なんだか感慨無量だ。『愛のむきだし』を見た時はこれが彼の頂点だ、と思ったけど、そんなことまるでなかった。それどころか、あれは今ある彼の序章でしかなかったのだ。恐るべし、園子温。
今回もまた、もうやりたい放題である。こんないじましい個人的な妄想が商業映画になるなんて、ありえない。これで、この映画が大ヒットしたなら、笑いが止まらないだろう。残念ながら、そうはいかなかったけど、これだけの映画である。売り方次第ではきっとミラクルヒットは可能だったはずだ。残念でならない。
長谷川博巳演じるうだつの上がらないだめだめサラリーマンが、こたつの中で見た夢。それが現実になる。ビッグなミュージシャンになり東京ドームでライブを行う。ミドリガメにピカドンと名付け、彼と暮らす日々。会社では、みんなからバカにされ、誰からも相手にされない男が、カメに願いをかけたときからそんな奇跡は始まる。
こんなお話、誰もが一度は考える。考えた後赤面して、なかったことにする。だって、あまりにバカバカしいから。恥ずかしくて人には言えないよ。でも、それを映画にしたのだ。ミドリガメのピカドン(このネーミング! 声はピカチューの大谷育江!!)が巨大化して、東京の街を襲うガメラになる。なんと怪獣映画にもなるのだ。この後半部分は怒濤の展開で、唖然とするしかない。だが、カメ以上に唖然となるのは、長谷川のキャラ。ロックミュージシャンとなり、みんなからチヤホヤされ、天狗になり、お終いには、どうなるのか。その末路も今の園子温である。悲惨なことになるはずもないか? けっこうドキドキである。眼鏡地味女(ほとんど、『ロッキー』のタリア・シャイア状態なので、映画のラストは「エイドリアーン!」と叫ぶのではないかと、思わせるのだが)を演じた麻生久美子がラストまでメガネを外さないのにも、驚く。(パターンでは、必ずメガネをとると美人という定番を入れるはずなのだ)
西田敏行がなんとサンタクロースというオチもバカバカしいなんて通り越して、もう何してもいいよ、状態。日本版『トイストーリー』部分を彼ら(もちろん、棄てられたおもちゃたちだ!)が担い、豪華声優陣を従え、ありえないよ、というような下水道のファンタジーを展開。もうやりたい放題の極み。思い残すことはあるまい。もうなんでもあり。好きにしてくれ。ピカドンお前を忘れない、というフレーズが営業戦略でラブ&ピースお前を忘れない、というわけのわからない歌詞に変えられる。ここがこの映画の一番怖いところなのだが、まるでそこにこだわることなく、流してしまう。それもまた、こわい。
今回もまた、もうやりたい放題である。こんないじましい個人的な妄想が商業映画になるなんて、ありえない。これで、この映画が大ヒットしたなら、笑いが止まらないだろう。残念ながら、そうはいかなかったけど、これだけの映画である。売り方次第ではきっとミラクルヒットは可能だったはずだ。残念でならない。
長谷川博巳演じるうだつの上がらないだめだめサラリーマンが、こたつの中で見た夢。それが現実になる。ビッグなミュージシャンになり東京ドームでライブを行う。ミドリガメにピカドンと名付け、彼と暮らす日々。会社では、みんなからバカにされ、誰からも相手にされない男が、カメに願いをかけたときからそんな奇跡は始まる。
こんなお話、誰もが一度は考える。考えた後赤面して、なかったことにする。だって、あまりにバカバカしいから。恥ずかしくて人には言えないよ。でも、それを映画にしたのだ。ミドリガメのピカドン(このネーミング! 声はピカチューの大谷育江!!)が巨大化して、東京の街を襲うガメラになる。なんと怪獣映画にもなるのだ。この後半部分は怒濤の展開で、唖然とするしかない。だが、カメ以上に唖然となるのは、長谷川のキャラ。ロックミュージシャンとなり、みんなからチヤホヤされ、天狗になり、お終いには、どうなるのか。その末路も今の園子温である。悲惨なことになるはずもないか? けっこうドキドキである。眼鏡地味女(ほとんど、『ロッキー』のタリア・シャイア状態なので、映画のラストは「エイドリアーン!」と叫ぶのではないかと、思わせるのだが)を演じた麻生久美子がラストまでメガネを外さないのにも、驚く。(パターンでは、必ずメガネをとると美人という定番を入れるはずなのだ)
西田敏行がなんとサンタクロースというオチもバカバカしいなんて通り越して、もう何してもいいよ、状態。日本版『トイストーリー』部分を彼ら(もちろん、棄てられたおもちゃたちだ!)が担い、豪華声優陣を従え、ありえないよ、というような下水道のファンタジーを展開。もうやりたい放題の極み。思い残すことはあるまい。もうなんでもあり。好きにしてくれ。ピカドンお前を忘れない、というフレーズが営業戦略でラブ&ピースお前を忘れない、というわけのわからない歌詞に変えられる。ここがこの映画の一番怖いところなのだが、まるでそこにこだわることなく、流してしまう。それもまた、こわい。