『デッドプール』
『シビルウォー』を見た翌日にこれを見に行った。ちゃんと確認したかったのだ。もうヒーローものの映画に飽きたのか、それとも、『シビルウォー』の出来が悪かっただけなのか、を。
なのに、この映画にもあまり乗れなかった。やはりこれは僕の個人的な問題だったのかもしれない。もう、この手の映画には飽きた、ということか。まぁ、この2本に関しては期待が大きかったから、それでがっかりも大きい。そういうことだ。たぶん。(その点、さらに翌日に見た『変態仮面 アブノーマルクライシス』は、なんと面白く見ることが出来たのだ!)
確かにこの「おふざけ」は楽しい。おバカなヒーローがめちゃくちゃする映画、なんだ。間違ってない。そんな主人公のバカさにあきれる。でも、楽しい。今までこういうタイプの映画はなかった、かもしれない。とことん、バカ。ド派手なアクション。個々の描写はえぐい、くらいで。「R15+」の指定を受けた。そこも立派。
でも、見ているうちにだんだん慣れてくる。飽きてくる。もう少し何かが欲しいと思う。映画の途中でここまでの顛末が挟まれて描かれていく。アクションの途中なのに、である。末期がんの宣告を受け、怪しい組織に誘われて、改造手術を受け、不死身の体を手に入れる。そんな都合よくいくはずもないけど、これは映画なんで、こういうのもあり。だけど、なんで、彼だったのか。彼を改造してどうしたいのか。怪しい組織のくせにせめてショッカーくらいのポリシーが欲しい。彼を使って世界征服くらい企んでくれなくては、改造した意味ないじゃん。不死身にはなったけど、顔がぐちゃぐちゃで恋人に合わす顔がない。さぁ、どうする、とか、そういう設定もあまり意味ない。
ここに必要なものは、おバカの権化クレヨンしんちゃんくらいのふっきれ方だ。それが欲しかったのになんだか中途半端で、後半になるとだんだん退屈してくる。彼の生き方はしんちゃんのように偉大ではない。せこいし、くだらない。そのくだらなさこそをもっと突き詰めて描くべきだった。そうすると、この映画もしんちゃんのように、あるいは『変態仮面』のように、ちゃんとふっきれた作品になったのではないか、と思うのだが。