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映画・演劇のレビュー

辻堂ゆめ『二人目の私が夜歩く』

2024-06-28 07:44:00 | その他

辻堂ゆめの新作は夢の話。そして『二人目の私が夜歩く』というタイトルから主人公は私だけであるのではなく、二人目でもあるであろうこともわかる。解離性同一性障害を扱う。

前半部分は「昼のはなし」で後半は「夜のはなし」の二部構成。ふたつの話は同じ時間を生きたひとりの中にいるふたりがそれぞれのエピソードの主人公になる。
 
まずは茜の話。交通事故で首から下が麻痺して動かなくなった咲子さんと出会い、彼女の話し相手になるボランティアを始めた受験生の18歳。咲子は12年前から寝たきりの30歳。ひと回りも違うけど、なかよしになる。次はサキの話。彼女は茜の中にいる別人格。同じように咲子となかよくなる。ふたりはそれぞれ、彼女のために、彼女を助けたいと願う。
 
まさかのラストの展開は無理からの力技だけど、そこまでの展開は面白い。ふたりとひとりが、実はふたり。それぞれの秘密がやがて明らかになっていく。ふたつの事故が重なった時、すべてが明らかになる。あまりに上手く作り込み過ぎて少しガッカリする。もっとさりげなく爽やかな終わり方でもよかった気がするけど。
 
 
 

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