この25年に書きためていたエッセイを集めて一冊にした。とてもいい。川上弘美の500ページ近くある大長編『明日、晴れますように』と並行して読み始めた。このエッセイ集も400ページ近くある。
岸本さんと川上さん。ふたりとも僕と同い年。まぁそれがどうした?って言われそうだけど。世代だけでなく、感じ方も似ているから読んでいて楽しい。川上弘美の今回の小説は一気読みには適さないから、2冊を50ページくらいに交互に読むのがいい。そんなふうにして読んだ。
彼女はめちゃくちゃなことをしれっと書く。これはそんなエッセイ、書評、日記の集大成である。読みながらなんて自由で気持ちいいんだろう、と思う。まだまだ続く(実はまだ半分くらいしか読んでいない)けど、ゆっくり読むつもり。だってこれは25年の集大成である。
『わからない』というなんだか投げやりで、謎のタイトルもいい。わかってたまるか、と思う。いろんなことがわからないから楽しい。
書評欄も日記も気持ちいいくらいに自由。特に「ベストセラー快読」が凄い。読みながら呆れる。いいのか、こんなふうに書いて、と心配になる。僕は絶対読まないような本だけど、天下のベストセラーである。ちゃんと読んでいる(はず)のに、ほとんど内容に触れないものも、一刀両断。ふざけた文ではなく誠実。普通の書評と基本姿勢は変わらない。