ウエス・アンダーソン監督最新作は、50年代アメリカ南部の町が舞台となる。砂漠の町アステロイド・シティ(確か人口が81人!とかだったような)にやってきたある家族。車がエンコして、直るまでここに止まることになる。父親と息子、3人の幼い妹。母親が死んでしまったため妹たちを母親の父(祖父ですね。トム・ハンクス)に預けに行く旅の途中。
ここにジュニア宇宙科学賞のために集まってきた子どもたちがやってくる。さらにはなんと宇宙人までもが到来して、訳がわからない騒動が巻き起きる。
いつもながらの書き割りを駆使した独特の空間と世界観で描いたコメディ作品だ。カラフルでわざとらしい人工的なセットは、この映画の外枠が舞台劇だからみたいだが、わざわざこの話を舞台に設定する意図は何? この嘘くさい世界をくっきり浮かび上がらせるためなのか。
モノクロ、スタンダードで描かれる劇作家が執筆している光景が描かれる部分からお話は始める。劇場にセットを作り芝居の準備が始まると同時にカラー、シネスコサイズで総天然色の本編が始まる。
エピソードは細切れで、平気で尻切れトンボなままぶつ切れされるし、なんだかよくわからない話だけど、どんどんその話は問答無用で進んでいく。あっというまに終わってしまう。なんだかよくわからないけど、楽しい。