こんなタイトルのアクション映画ってありですか? なんと、これは三池崇史監督による久々の本格暴力映画なのだ。やりたい放題をしている。
全く場違いなタイトルがどうして、この映画に付けられたのか。気になる。一応は窪田正孝の死の宣告を受けたボクサーが主人公で、彼がたまたま、追われている少女を助けたことからお話は始まるのだけど、映画は彼の視点からではなく、複数のお話が絡んできて、それぞれのお話の主人公たちが勝手に暴走する。でも、オムニバスではなく、夜の東京を舞台にして逃げ惑う若い男女と、彼を追いかけるヤクザや警察が入り乱れて何が何だかの暴走を繰り広げる、という単純なお話なのだ。昔、那須博之監督が仲村トオル主演で作った傑作アクション『新宿純愛物語』とよく似ている。あれもたまたま出逢った男女がヤクザたちに追われて新宿を逃げ回る映画で、タイトルだけを見るとラブ・ストーリーなのに、内容はとんでもないアクションだった。
それにしても、ここまでやられるとなんだか清々しい。主人公の2人なんて途中からどうでもよくなり、忘れられたんじゃないかと,思わせるくらいに影も薄い。彼らの周辺にいる有象無象の輩の圧倒的な存在感が前面に出る。本来なら彼らからどう逃げるか、というサスペンスになるはずなのに、2人を置いてけぼりにして、バトルがあちこちで勃発する。うようよ涌いて出てくる面々が好き勝手に暴れて殺し合い、めちゃくちゃする。
もう三池節爆裂の映画なのである。もともとはドラッグの奪い合いのはずだったのに、それだってどうでもいい、って感じだ。映画は確かに面白い。だけど、三池監督が、今更こんな映画を作ってどうするのか、とも思う。散々昔やり尽くしたことを、再生しただけ、って感じなのだ。今の映画としてこれはどうか、と思う。