今TVドラマ化されてオンエアー中の小説の第2作が文庫で発売された。一作目はかなり前に単行本で出た時に読んで面白かったから、今回も楽しみだった。ただ、TVドラマは見てないけど、ドラマのキャストがアタマに浮かぶから読みにくい。成田凌と小芝風花をイメージして読んでしまい、何だかなぁ、である。
まぁそれはさておき、この小説、かなりヘンテコで読んでいて、それでいいの、と思うことが多々ある。わかりやすいオチを付けない。各エピソードはいきなり終わり途方に暮れる。だからっていって連作長篇というほどの一貫したストーリーがあるわけではない。あくまでも読み切り短編連作という体だ。
転職のためにやってくる人たちも、対応するキャリア・アドバイザーも一筋縄ではいかない。タイトルロールの魔王様だけでなく、今回登場した天使様もヘン。それで大丈夫か、と思ってしまう。でも大丈夫っぽい。さらには転職王子も登場する。
5つの話が終わると、まだまだ続くというサイン入り。まぁある種の定番だけど。同時に、気がつくと中途半端だと思っていた問題はなんとなく解決している。スマートで鮮やか。
お仕事小説だか、変な押し付けがましさはない。至って穏やか。転職サイトに登録する人たちは人生のある大事な局面と向き合い、答えを見つける。わかりやすい話だし、ちゃんとカタルシスもある。魔王様はマイペースで仕事をこなすし、主人公のCAの女の子(いいかげんちゃんと名前を書きましょう。千晴さんです)は少し成長して次のステージに向かう。第三作はなんと大阪が舞台になるみたいだ。もちろん魔王様も出てくるはず。たぶん。