今年で8年目を迎えたNYANが、今年も送る年末恒例のNyan SELECTを見てきた 。今回の5団体は僕の知らない人たちばかりだ。例年、普段から見ている劇団が参加しているから、まず、彼らの作品を見るために行く、というスタンスだった。そのついでに(というと、失礼だが)他の団体も見る、という感じだったのだが、今回は、何の先入観もなく、何かを(というか、芝居を、だが)見るなんていう希有の体験になった。
それと言うのも、今年はあまりNYANで芝居を見る機会がなかったから、そうなったのかもしれない。この1年このスペースで上演された劇団から、オーナーであるヤマサキさんがセレクトした集団に出演依頼する、というのがこの企画で、だから、これはNYANのこの1年間の総決算でもある。
5団体と、最後にはいつもヤマサキさん自身の作品も上演される。毎回、彼女が楽しみながら、自分の世界を表現するのが劇団TCN作品なのだが、今回は、彼女の一人芝居(『ぶらんこゆれる』)。しかも、ここでヤマサキさんは自伝的作品に挑むのだ。短い描写で、幼いころから、現在までを一瞬で表現していく。6歳の少女だった彼女が、60歳の今の自分と出逢う、というお話でもある。その時々に自分の感じたこと、心情を赤裸々に描く。20分と言う短い時間がとても効果的で、作り手の気持ちがしっかり伝わってくる。
さて、他の作品にも少し触れよう。コンクールでもあるこの企画、その5団体についても簡単に感想を述べて行こうと思う。いずれも正直な作品ばかりで、自分たちの表現をちゃんと伝える。個々の個性が確かな感触として残る。20分という持ち時間を有効に使えている。ただ、例年の作品に較べると冒険が足りない。自分たちのテリトリーで(安全圏で)安心な作品を作るばかりだ。もちろん、これを自分たちの集団のデモンストレーションだと認識したなら、これはこれでいいのかもしれないが、そこに新しい感動を求めると肩透かしを食らう。
らふ・トランポリン企画『夢の名残が知りたくて』は、夢を実現して童話作家になった女性が主人公。だが、幸せなはずの今の現実に少し疲れている。そんな時、夢の中で、幼いころ感じたこと、思ったものと再会するというお話。忘れていたものに気付くことで元気になれる。なかなかよくはまとまっている。でも、単純すぎて物足りない。
実を言うと、この他の芝居も、いずれもこれと同じパターンなのだ。辻田鯉絵単独(演劇カンパニー未来計画TOP)『アラサー女子真優美の妄想自己裁判』も、現実と格闘し、疲れながらも生きていく女性の話だし、無敵光線赤紫『月影運河であいましょう』は、それをコメディとして。魔法のチョコレート『ぷくぷくぽこぽこ』は、それをファンタジーで見せる。
今回参加した女性たちが、いずれも生きて行くことの困難とそれをどう乗り切るべきかをそれぞれのやり方で表現しているのは、興味深い。(そんな中、劇社瀑組の別プロジェクト「ピンクとブルー」だけは孤高を行くのだが。)
指定された舞台美術を使い、その中で自己表現をするのは、難しいだろうが、出来ることなら、そういう枷を反対に力にして欲しい。工夫が足りない。
各団体の公演の前にはダンスが挿入される。そこでの天井から下りてくる布を使ったパフォーマンスは新鮮だ。
それと言うのも、今年はあまりNYANで芝居を見る機会がなかったから、そうなったのかもしれない。この1年このスペースで上演された劇団から、オーナーであるヤマサキさんがセレクトした集団に出演依頼する、というのがこの企画で、だから、これはNYANのこの1年間の総決算でもある。
5団体と、最後にはいつもヤマサキさん自身の作品も上演される。毎回、彼女が楽しみながら、自分の世界を表現するのが劇団TCN作品なのだが、今回は、彼女の一人芝居(『ぶらんこゆれる』)。しかも、ここでヤマサキさんは自伝的作品に挑むのだ。短い描写で、幼いころから、現在までを一瞬で表現していく。6歳の少女だった彼女が、60歳の今の自分と出逢う、というお話でもある。その時々に自分の感じたこと、心情を赤裸々に描く。20分と言う短い時間がとても効果的で、作り手の気持ちがしっかり伝わってくる。
さて、他の作品にも少し触れよう。コンクールでもあるこの企画、その5団体についても簡単に感想を述べて行こうと思う。いずれも正直な作品ばかりで、自分たちの表現をちゃんと伝える。個々の個性が確かな感触として残る。20分という持ち時間を有効に使えている。ただ、例年の作品に較べると冒険が足りない。自分たちのテリトリーで(安全圏で)安心な作品を作るばかりだ。もちろん、これを自分たちの集団のデモンストレーションだと認識したなら、これはこれでいいのかもしれないが、そこに新しい感動を求めると肩透かしを食らう。
らふ・トランポリン企画『夢の名残が知りたくて』は、夢を実現して童話作家になった女性が主人公。だが、幸せなはずの今の現実に少し疲れている。そんな時、夢の中で、幼いころ感じたこと、思ったものと再会するというお話。忘れていたものに気付くことで元気になれる。なかなかよくはまとまっている。でも、単純すぎて物足りない。
実を言うと、この他の芝居も、いずれもこれと同じパターンなのだ。辻田鯉絵単独(演劇カンパニー未来計画TOP)『アラサー女子真優美の妄想自己裁判』も、現実と格闘し、疲れながらも生きていく女性の話だし、無敵光線赤紫『月影運河であいましょう』は、それをコメディとして。魔法のチョコレート『ぷくぷくぽこぽこ』は、それをファンタジーで見せる。
今回参加した女性たちが、いずれも生きて行くことの困難とそれをどう乗り切るべきかをそれぞれのやり方で表現しているのは、興味深い。(そんな中、劇社瀑組の別プロジェクト「ピンクとブルー」だけは孤高を行くのだが。)
指定された舞台美術を使い、その中で自己表現をするのは、難しいだろうが、出来ることなら、そういう枷を反対に力にして欲しい。工夫が足りない。
各団体の公演の前にはダンスが挿入される。そこでの天井から下りてくる布を使ったパフォーマンスは新鮮だ。