こういう題材の小説が書かれる時代になりました。まぁ『老後の資金がありません』の垣谷美雨である。彼女がいかにも書きそうなタイプの小説だが。
語り手がどんどん変わりワンエピソードは短くさくさくストーリーが進んでいく。1章10ページくらいのペースで松尾家の母、五月とふたりの娘を中心にして、五月の夫慎二、その兄姉、父親の話。さらには五月の次女詩穂の婚約者悟、その両親、叔母という中林家。このふたつの家族のお墓を巡る物語。
夫婦別姓問題から、墓の管理問題に。さらにはやがてタイトル通り、墓じまいとどう向き合うか、ということへとお話は絞られていく。誰もが気になりながらもあまり知らないことばかりで、それをわかりやすい解説しながら答えを出してくれる。読みやすいてためになる本。だけど、それだけ。