予想した以上によく出来ていて嬉しかった。前田哲監督は今までいつも中途半端でもどかしい映画ばかりで、それでもなぜか見棄てきれないまま見続けてきたのだが、ようやくここにきて報われた気分だ。
原作となったドキュメンタリーは残念ながら未見だが、この素材は映画としてより実際にドキュメンタリーで見たほうがずっとインパクトもあるはずだ。なのになぜ敢えて映画化しよとしたのか、そのへんの彼の真意はこの映画を見たらよくわかる。
妻夫木聡の新米先生は、なんだかヘンに堂々としている。彼が教室に生後間もない豚の赤ちゃんを持ち込む。生徒たちの前で、「先生はみんなとこの豚を育てたいと思います。そして、大きくなったらみんなで食べたいと思います。」だなんていう。映画はここから始まる。だが、子供と豚と先生との交流を描くおきまりのヒューマンドラマにはならない。淡々と彼らが豚を育てていく姿が描かれる。なんだか拍子抜けするくらいにとんとんと話が進む。
そして後半は成長した豚の処分を巡るディスカション劇に転調する。まぁ、充分に予想されたことだ。ここではドキュメンタリーの手法が使われる。自由に彼らに考えさせえそれを自分の言葉として話させる。豚を予定通りに食肉業者に預けて処分してもらうか、それとも3年生に託して卒業していくのか。妻夫木先生はそれをただ見ているだけだ。何の手も差し伸べない。だが、クラス投票で同点になった後、豚の処分についての最後の判断を生徒たちから託される。
映画は子供たちの1年を追いながら、限られた時間の中で子供たちがどう成長していくのかが描かれる。この映画のよさは豚を巡るお話に見せかけて実は子供たちの姿を描くことの方に眼目がある。表向きは豚の飼育がテーマなのだが、その行為を通して26人の子供たちが、考え悩み生きる姿を描くことにこそ、この映画の本当の主題はある。ラストの卒業証書を受け取るシーンは感動的だ。26人みんなが受け取る場面が端折らずに描かれている。
原作となったドキュメンタリーは残念ながら未見だが、この素材は映画としてより実際にドキュメンタリーで見たほうがずっとインパクトもあるはずだ。なのになぜ敢えて映画化しよとしたのか、そのへんの彼の真意はこの映画を見たらよくわかる。
妻夫木聡の新米先生は、なんだかヘンに堂々としている。彼が教室に生後間もない豚の赤ちゃんを持ち込む。生徒たちの前で、「先生はみんなとこの豚を育てたいと思います。そして、大きくなったらみんなで食べたいと思います。」だなんていう。映画はここから始まる。だが、子供と豚と先生との交流を描くおきまりのヒューマンドラマにはならない。淡々と彼らが豚を育てていく姿が描かれる。なんだか拍子抜けするくらいにとんとんと話が進む。
そして後半は成長した豚の処分を巡るディスカション劇に転調する。まぁ、充分に予想されたことだ。ここではドキュメンタリーの手法が使われる。自由に彼らに考えさせえそれを自分の言葉として話させる。豚を予定通りに食肉業者に預けて処分してもらうか、それとも3年生に託して卒業していくのか。妻夫木先生はそれをただ見ているだけだ。何の手も差し伸べない。だが、クラス投票で同点になった後、豚の処分についての最後の判断を生徒たちから託される。
映画は子供たちの1年を追いながら、限られた時間の中で子供たちがどう成長していくのかが描かれる。この映画のよさは豚を巡るお話に見せかけて実は子供たちの姿を描くことの方に眼目がある。表向きは豚の飼育がテーマなのだが、その行為を通して26人の子供たちが、考え悩み生きる姿を描くことにこそ、この映画の本当の主題はある。ラストの卒業証書を受け取るシーンは感動的だ。26人みんなが受け取る場面が端折らずに描かれている。