
一応これはホラー映画だが、怖がらせることを目的としたショッカー映画ではなく、お話で見せるタイプの映画になっている。そこには昨日見た『哀れなるものたち』にも通じるものがある。レプリカントが意思を持ち、という『ブレードランナー』パターンにも近い。もちろんこれはそんな立派な大作映画ではないけど、なかなかよく出来た映画小さなになっている。
ラストも潔い。こんなところで、と思うくらいに唐突に終わった。103分という時間内できちんと収める。両親を事故で失った少女と人型ロボットの親友という関係はドラえもんとのび太を想起させる。もしドラえもんが暴走したらのび太はどんなふうに対応するか。それは主人公の少女とミーガンの関係と重なり合う。
ミーガンは決して悪魔ではない。だからといってドラえもんでもない。彼女は成長する過程で「何か」を手にした。一方的に支配されるだけではなく、自分の意思を手にしたのだ。それは大好きな少女を守るため。
だから隣家の凶暴な犬を殺した。次にその飼い主である理不尽な女を処罰する。さらには少女と自分に危害を加えた少年を殺す。少しずつその残酷はエスカレートする。それはのび太のためならドラえもんもするかもしれない行為だ。愛情からの暴挙は自分の意志による。ミーガンは正しいことを実行する。だがそれは人間の行為としてはアウトだ。そんなこと賢い彼女はわかっている。映画は彼女の中の葛藤と大人たちの思惑、さらには大切な少女を想う気持ちを交錯させてミーガンなりの真実に向かうと傑作になったはずだけど、残念ながらそうはならない。
終盤のミーガン・ダンスの不気味さが彼女の暴走にしかならなかったのが惜しい。それが引き裂かれた感情の発露であったならこれは凄い映画になったかもしれない。それだけに残念でならない。