TSUTAYAに行けば、見逃していた映画がどんどんレンタルされている。先日も新作5本見たが、今週は準新作で7本借りてきた。いずれも粒ぞろいの傑作ばかりで、見ごたえがある。1本ずつ簡単な感想でも書いておきたいけど、時間がない。
12本中で一番面白かったのが、この映画だ。アメリカの地方の高校生の1年間を綴る青春映画だ。こういうタイプの学園ものなら日本映画には山盛りある。ここ数年「キラキラ青春映画」として量産された。マンガを原作にして壁ドンとかを盛り込んで、同じような映画を(低予算で作れてそれなりに集客できるからお手軽なのだ)作り続けた。三木孝浩のように秀作ぞろいの監督の作品はいいけど、凡百のつまらない映画も大量生産され今では中高生にも飽きられた。
それらと基本的には同じようなストーリーラインを踏みながらも、この映画は本当の意味での「キラキラ」した映画になっていた。一人の少女の生き方が胸に沁みてくる。ありきたりなお話がこんなにも感動的であるのは、そこには単なる絵空事ではない確かな彼女の姿が刻まれているからだ。
彼女は確固とした自分の意志を貫く。冒頭の車から飛び降りるという強烈なシーンからスタートして、その後も自分を曲げないで、最後は初心を貫き、大学に入学して田舎町サクラメントから大都会ニューヨークに出る。映画は、そんな彼女の高校生活の最後の1年を丁寧に追いかける。どこにでもありそうなお話は、だからこそ彼女にしかできなかった彼女の生き方を指し示す。あたりまでであることがこんなにも愛おしい。誰もが共感できる映画なのに、こんなのも普遍性を待つ作品なのに、唯一の輝きを持っているなんて凄すぎる。しかも上映時間は94分である。近年珍しい短さ。
一切無駄のない映画という意味では、今回の12本の中にある『ウインド・リバー』も素晴らしかった。これは106分。こちらも単純なストーリー。だけど、辺境の先住民居留地の問題を浮き彫りにして、アクション映画という枠組みに収める。ありきたりに見せかけて、重いテーマを確実に見せきる傑作。本編から削除されたシーンにこれはぜひ残してもらいたかったというエピソードもあり、監督の厳しいこだわりがそこに感じさせられる。