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映画・演劇のレビュー

『ダーウィンの悪夢』

2007-08-16 16:59:56 | 映画
 これをつまらない映画だと言うつもりはないが、衝撃的な事実だと、思ったりもしない。このくらいのことは、この世界では充分起きているだろうと想像はつく。僕らは既に悪夢に対して悲しいかな、それくらいの免疫が出来てしまっているのだ。

 ビクトリア湖に巨大魚が発生して、それが異常繁殖することで、それまでは200種程いた魚は絶滅し、生態系を崩してしまう。しかし、そんな魚の輸出によって現地の人々は潤う。もちろんそれは一部の人たちだけなのだが。(しかも、その魚を口に出来るのは、彼らではなく、空輸先であるヨーロッパや日本の人たちである)

 タンザニアの人々の生活は極貧で、人が生きていくことすら困難を極める。1部の裕福な人間と、その他大多数の生活破綻者の群れ。生きてゆくために売春婦になる女たち。一晩1ドルの報酬で夜警の仕事に就く男。戦争が起きればいい、という男。(なぜならそれが仕事になり生活が出来るからだ。人を殺すだけでお金が手に入り、生きていける。)

 ここで獲れる巨大魚を空輸し、その代わりに武器を運んでくる。紛争地に送り、戦火に油を注ぐためだ。そんなふうにしてこの世の中は動いている。

 繰り返し言うがここに描かれてあることは、何を今更と言うしかない事実だ。しかし、その事実にカメラを向け、生の声を切り取った映像を突きつけられても、何も思わないくらいに刺激に対して鈍感になっている自分自身の感性が怖いな、と思う。

 

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