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映画・演劇のレビュー

金蘭座『農業少女』

2016-08-30 22:17:50 | 演劇

 

6年振りの公演になる。解散から2年、「復活公演第1弾!」とある。とても、うれしい。山本先生が、金蘭座を再開して、金蘭の少女たち(もう少女だなんていうのは、失礼なメンバーもいるけど、敢えてそう言おう!)と果敢に時代に立ち向かう。また、あの熱い戦いを目撃出来る。もうそれだけで、ワクワクが止まらない。

 

「総演出・山本篤」ではなく、演出、山本篤のクレジットでの公演が見たかったのだ。もちろん、そこには差異はない。どちらも山本印の作品だ。わかっている。ついこの間の7月HPFで超大作『僕たちの好きだった革命』を見たばかりなのに、もう新作が見られるなんて夢のようだ。

 

ウォーミングアップの小さな作品をしようか、と最初は思った、というようなことが確かパンフに書かれてあるが、もちろん、そんなはずもない。金蘭の持ち味はいつも全力投球だ。100パーセント力を出し切らなくては作品にならない。そこで、この作品である。野田作品としては比較的小規模の作品になるかもしれないが、描かれる問題はいつも同じで、壮大なロマンだ。田舎の少女が東京に憧れて、この線路の向こうの東京に旅するところから始まる。だが、お話はこれもいつものように、一筋縄ではいかない。日本という国がどこにむかい、どうなろうとしているのか。それは決して薔薇色の未来なんかじゃない。それをどんなふうにして、食い止めるか。金蘭会高校の作品として上演された『僕たちの好きだった革命』の流れをちゃんと汲んでいる。山本先生の中には迷いはない。

 

この作品を、敢えて100分以内の作品に仕上げた。なのに、ボリュームは満点で、2時間強の大作仕立てだ。掲げるものの大きさ、テーマへのストレートな取り組みがそう見せる。なにより、彼女たちの熱い芝居がそのエネルギーが作品を大きくする。変わらないな、とうれしくなる。斜に構えることなく、真正面から時代と向き合う。都市農業という病が蔓延する社会に対してどう立ち向かうのか。金蘭座としての新しい1歩がここには確かに感じられる。

 

次はもちろん、山本篤、作、演出作品となるだろう。もう今からその瞬間が楽しみでならない。当然、次も総力戦だ。

 

 

 


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