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映画・演劇のレビュー

劇団カメハウス 『MEMENTO 2 甘キ死ヨキタレ』

2015-12-28 23:02:04 | 演劇
前作『罪(ツツミツツ)蜜』も凄まじかったが、今回もまた、やってくれる。このエネルギーはいったいどこから来るのか。作、演出の亀井伸一郎は、とんでもない。細部までとことんこだわり、3時間を超える全編クライマックスの舞台を作り上げる。この異常な情熱は普通じゃない。しかも、冷静に計算された舞台を作る。ただ、熱いだけの芝居ではない。衣装、小道具、舞台装置、仕掛け、どれひとつとっても手抜きはない。実に見事なまでにこだわり抜いた。

いや、今、そんなことを言いたいのではない。30名に及ばんとする役者たちのアンサンブルの素晴らしさ。作品のスタイルはダンスパフォーマンスで、彼らがひとりで何役もこなすこととか、書きたいのは、そんな話ではない。クライマックスの100人斬りの見事さとか、だから、そんなことではないのだ。もう、本当にバカだ、と思う。どこに、どれだけの、情熱があり、何がここまでやらせるのか、とか。まあ、書きたいことはいろいろあるけど、この圧倒的な迫力に心打たれる。芝居を見終えると、もう、ぐったりする。激しいスポーツをし終えた後の疲れがある。怒濤の3時間を完走した興奮。(ただ手に汗握って見ているだけの観客を、ここまで疲れさせる芝居って何だ? 観客ですらここまで疲れるのだから役者の疲労はいかほどか、想像するだけで頭が下がる)全編クライマックスの芝居なんか、作るのは間違いだ。でも、そんな愚行に果敢に挑むのが亀井さんで、問答無用。


何が何だか、よくわからないけど、面白いのが、昔ながらのアングラ演劇だったが、これはそれをエンタメとして現代に再生させた。ハイテンションで一気にラストまで駆け抜けれるわけではない。だいたいここまですると、普通なら途中で飽きる。お話自体はマンガ的で他愛もない。「吸血鬼×スチームパンク×立体絵画演出」とチラシにはタイトルよりも大きく書かれている。さらには、もっと大きく「天廻儀式絵画劇」とある。もう何が何だか、である。おどろおどろしいそのチラシに誘われて、期待して見に来た観客のド肝を抜く。はったりはチラシを超える。ここまでサービス精神旺盛で、一人よがりにはならず、でも、観客に媚びない芝居、そんなのはなかなかない。今年最後にとても刺激的な芝居が見れてよかった。

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