63回ヴェネチア国際映画祭コンペに出品され、東京国際映画祭でも上映された作品。アンディー・ラウの若手育成プロジェクトの1本でもある。2006年作品。マレーシア映画。内容的には、個人的で、インディペンデントな映画だけど、それを低予算で貧乏くさく作るのではなく、適正な予算のもとに、丁寧に作られた映画。とても贅沢なことだ。でも、これでは商業ベースには乗せられない。興行は度外視して作られたのだろう。きっとこれでは続かない。その後、アンディー・ラウはこの企画を続行しているのかな。脚本、監督はホー・ユーハン。
クアラルンプールに行った兄を捜して、家を出て、都会をさまよう少年。兄の死により、再び母のいる田舎町に戻ってくるが、そこに居場所を見出せず、伯父の住む漁村の村に逃げる。自分の居場所を失くし、浮遊する主人公の姿を淡々と見せる。彼に感情移入することもなく、美しい風景のなかに放り出す。彼はどこに居ても迷子のようで、居心地が悪く、不安な気持ちを無表情に包み込む。映画はそんな彼をただ見つめていくだけで、何もしない。こんなにも何も言わない映画も珍しい。突き放しているわけではない。どうしようもないのだ。誰も助けてはくれないし、結果的には周囲に甘えるばかりで、何をどうしていいのか、わからない。
とてもいい映画だとは思う。だが、あまりに無口すぎて、ここから何をどう受け止めたらいいのか、よくわからない。せりふもほとんどない。彼を取り囲む風景が、あまりに美しく、それだけで、涙が出そうになる。だけど、この美しい風景の中にいても彼は孤独だ。美しければ美しいほど彼は惨めになる。
ストイックな映像で、距離を置いて少年の姿を追いかける。彼が大人へと、成長していくドラマを見せたかったのだろう。企画意図は十分に伝わるのだが、残念ながら、映画としての感動はない。
クアラルンプールに行った兄を捜して、家を出て、都会をさまよう少年。兄の死により、再び母のいる田舎町に戻ってくるが、そこに居場所を見出せず、伯父の住む漁村の村に逃げる。自分の居場所を失くし、浮遊する主人公の姿を淡々と見せる。彼に感情移入することもなく、美しい風景のなかに放り出す。彼はどこに居ても迷子のようで、居心地が悪く、不安な気持ちを無表情に包み込む。映画はそんな彼をただ見つめていくだけで、何もしない。こんなにも何も言わない映画も珍しい。突き放しているわけではない。どうしようもないのだ。誰も助けてはくれないし、結果的には周囲に甘えるばかりで、何をどうしていいのか、わからない。
とてもいい映画だとは思う。だが、あまりに無口すぎて、ここから何をどう受け止めたらいいのか、よくわからない。せりふもほとんどない。彼を取り囲む風景が、あまりに美しく、それだけで、涙が出そうになる。だけど、この美しい風景の中にいても彼は孤独だ。美しければ美しいほど彼は惨めになる。
ストイックな映像で、距離を置いて少年の姿を追いかける。彼が大人へと、成長していくドラマを見せたかったのだろう。企画意図は十分に伝わるのだが、残念ながら、映画としての感動はない。