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映画・演劇のレビュー

『チキンとプラム  あるバイオリン弾き、最後の夢』

2013-05-22 21:35:50 | 映画
 なんだか昔の大林映画みたいで、あるいはフェリーニの映画みたいなシーンもあって、(『アマルコルド』とか、ね)あの巨大なおっぱいは、『ボッカチオ 70』かなんか、だったっけ。そんなこんなのなんだか懐かしい映画みたいで、とても楽しみにしていた。劇場公開時に見る予定だったけど、いつものことで、上映がすぐに終わって今回のDVDリリース待ち。ようやく解禁。ツタヤに行く。

 へんな映画だ。そこが面白ければいいのだが、意図は十分に伝わるし、とても面白くなりそうなのに、なんか弾まない。気持ちばかりが先走り、表現がそこについてこないのだ。視覚的にも、ストーリー面でも、よくできているはずなのに、見ていて退屈する。

 大事なバイオリンを妻に壊された男が、ショックから自殺するまでの8日間が描かれる。恋に破れて音楽の中で生きた。なのに、もうバイオリンがない。だから、死ぬ。大好きだった女性との悲恋物語や、自分のことを心から愛してくれる妻を好きになれず、冷たくされた妻は心を閉ざす。なんだか切ない。すれ違う心と心。でも、そんなこんなの話が、なんか、心に響いてこないのだ。

 オールセットの風景や町並みはその作り物っぽさが、このファンタジーにぴったりだし、このすっとぼけた話にも似合っている。だが、なんだかテンポはぎくしゃくしていて、乗り切れない。すごく好きなタイプの映画なのに、感動できないし、違和感がある。


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