最初は原題の『Knights of the Zodiac』そのままの『ナイト・オブ・ザ・ゾディアック』というタイトルで宣伝されていたのに、公開直前になり『聖闘士星矢The Beginning』という邦題に変更された。わかりやすいようにという配慮なのだろうが、すごく安っぽくなった気がする。別に大人気だった原作漫画をリスペクトしないというわけではなく、今の時代にこれを映画化する上で必要なことは何かと考えると、懐かしさではなく、新しさではないか。『聖闘士星矢』の実写映画化ではなく新田真剣佑がハリウッドの映画で主演するアクション大作というパッケージングを大事にしたほうがいい。(たとえ東映アニメーションが出資した映画であろうとも)
嫌な予感はいつもあたる。80億円を投じた超大作なのに安っぽい映画になったのは脚本、演出のせいだろう。アクションシーンにもまるで驚きはない。まるでお客が入っていないという情報を得て、心配していた。真剣佑が父(もちろんソニー千葉こと、千葉真一だ!)の意思を引き継いでハリウッドのアクション・スターへの一歩を踏み出したはずの記念すべき映画なのに。
長大な原作に引きずられてしまい、映画としての魅力をまるで発揮することが出来ていない。ここにはオリジナリティがないし、驚きもないのは致命的だ。ストーリーの面白さはないし、延々と続く単調なアクションを見ていると眠くなってしまった。あんなに頑張っている真剣佑が可哀想だ。
この序章に続き、きっと第二章が作られるはずだった。だが、日本に続きアメリカでの惨敗を受けて、そんな夢は叶わない。