この映画の主人公、彼女のこの自信って何なのだ? まるで根拠がないのに、「OK、OK」と連発して、あらゆる事態を乗り切る。しかもそれが『日本無責任時代』とかの植木等のような胡散臭さはない。もちろん、あの植木等はあれはあれですごいのだが、この映画の仲里依紗演じる妊婦、光子のポジティブさは普通じゃない。植木等を凌駕する。
彼女は、粋であることをモットーにしていて、何事にもまるで悩まない妊娠9カ月の妊婦。周囲のヘンな奴らも大概なのだが、彼女の前ではそれすら色褪せる。(でも、石橋凌演じる食堂のオヤジはほんとうに笑える。その他のキャストもみんなおかしい人ばかりだ。)
でも、こんなヘンな奴らばかりが出てくる映画を普通に作る石井裕也監督が一番ヘンな奴なのだろう。しかも、彼はきっとそのことにまるで気付いていない。でなくてはここまで自然体でこんな変人ばかりを作れない。あざとさがまるでない映画なのだ。だから、面白い。頭で考えて、作っていたら、こういうのは乗れない。本能のまま、この映画を作っている。(たぶん)
どこまでもエスカレートしていく。だんだんあほらしさを通し越して、これが正しい生きる道ではないか、と思い始める。彼女は何が起きようとも動じない。自分のことだけでも大変なのにまるで、そうは思わない。いつも他人のことを気にしている。しかも、それが嘘くさくはない。こいつはきっと今、何も考えることなく、行動しているな、と思わせる。というか、そうしてる。絶対。その結果、いろんなことをちゃんと、なんとか乗り切る。この嘘のような話が無理なく展開する。だが、無責任男のように調子がいいだけで世間を乗り切るのではない。あんな体で、ちゃんと乗り切る。しかもなんかやすやすと。
このありえないようなバカバカしい映画に乗れない人は確かにいるかもしれない。映画を舐めるなよ、とか、もっと大きく出て、人生なめんな! とか。そして、あまりのバカに愛想を尽かすのだろう。だが、僕は、この突き抜けたものって、認めなくてはと、思う。これは石井裕也の本領発揮の傑作なのである。
彼女は、粋であることをモットーにしていて、何事にもまるで悩まない妊娠9カ月の妊婦。周囲のヘンな奴らも大概なのだが、彼女の前ではそれすら色褪せる。(でも、石橋凌演じる食堂のオヤジはほんとうに笑える。その他のキャストもみんなおかしい人ばかりだ。)
でも、こんなヘンな奴らばかりが出てくる映画を普通に作る石井裕也監督が一番ヘンな奴なのだろう。しかも、彼はきっとそのことにまるで気付いていない。でなくてはここまで自然体でこんな変人ばかりを作れない。あざとさがまるでない映画なのだ。だから、面白い。頭で考えて、作っていたら、こういうのは乗れない。本能のまま、この映画を作っている。(たぶん)
どこまでもエスカレートしていく。だんだんあほらしさを通し越して、これが正しい生きる道ではないか、と思い始める。彼女は何が起きようとも動じない。自分のことだけでも大変なのにまるで、そうは思わない。いつも他人のことを気にしている。しかも、それが嘘くさくはない。こいつはきっと今、何も考えることなく、行動しているな、と思わせる。というか、そうしてる。絶対。その結果、いろんなことをちゃんと、なんとか乗り切る。この嘘のような話が無理なく展開する。だが、無責任男のように調子がいいだけで世間を乗り切るのではない。あんな体で、ちゃんと乗り切る。しかもなんかやすやすと。
このありえないようなバカバカしい映画に乗れない人は確かにいるかもしれない。映画を舐めるなよ、とか、もっと大きく出て、人生なめんな! とか。そして、あまりのバカに愛想を尽かすのだろう。だが、僕は、この突き抜けたものって、認めなくてはと、思う。これは石井裕也の本領発揮の傑作なのである。