3年半ぶりの新作となるようだ。前作『Z』も面白かったけど、今回も気合いの入った大作仕立てで、前作に続き本作も原作者の尾田栄一郎が自らプロデュースする2作目。
「ようこそ、グラン・テゾーロへ」という何度となく聞いた予告編の冒頭の一言が、この作品を象徴する。巨大なカジノであり、船であり、国家。無法地帯の独立国。ここに君臨するテゾーロは、ここからやがて世界を支配するつもりだ。そこにやってきた麦わら一味。最後はルフィーとテゾーロの戦いになる。
お話自体は、実を言うと、たいしたことはない。だが、3Dも含めて圧倒的なスケールの大作仕様がタイトル『GOLD』とも相俟って、とてもゴージャス。ファンにとっては堪えられない作品なのだろう。だけど、僕は少し退屈した。
コンセプト自体は悪くはないけど、この大作っぽさが、作品を反対に貧乏くさくしているような気がする。なんだか、いろんな意味で空疎なのだ。この巨大な要塞、グラン・テゾーロと同じで、映画自体も、なんだか張りぼてのような感じ。構えばかりが大きくて、中身がない。これではルフィーが「許せねェ」と吠えても、テンションは上がらない。
要するに、お話の作り方が単純すぎたのだ。この巨大な船が、どうなっているのか、この世界が、カジノと街と国家の境目でどこに位置付けられるのか。ここには世界観の確立がないから本来の意味でのドラマがないし、話には奥行きが生じない。2時間の大作だけど、大味で退屈。これでは、なんだかもったいない。