これはリドリー・スコットの新作である。もうそれだけで、まず見に行く。今回は旧約聖書の「出エジプト記」を取り上げる。スペクタクル大作だ。要するにモーゼの『十戒』のリメイクなのだ。こういう古臭い素材を今なぜ取り上げるのか、と僕たち日本人は思うけど、キリスト教の国であるアメリカでは、興味関心が持たれるということか。
そんなことより、まずリドリー・スコットがなぜ、これを今取り上げたか。その答えが映画になかったのが、がっかりだ。凄まじい迫力のSFXは驚異のビジュアルを実現する。でも、もう、そういうのには心動かされない。すごいね、で終わり。で? と思う。そんなことより、お話自体の魅力で引っ張ってもらわなくては。まるで楽しめない。キリスト教徒なら楽しめるのか。よくわからない。
10の奇跡を科学的に実証するとか、宣材には書かれているけど、そんなことより自由を求めて海を渡るというロマンに心魅かれる。船もないのにそれを可能にする。しかし、エジプトから逃れても新大陸! には自分たちの居場所があるわけではない。モーゼは40万のヘブライ人を導くために家族との平和な暮らしを離れ再び都に戻ってくる。神の使徒となることに何の意味があるのか。
前作『プロメテウス』でSFと神話の融合を目指したから、その先にこれがあったというのか。『コロンブス』で新大陸を目指した彼だから、今回もその流れの先にこの企画が生じたのか。いずれにしても、そんな疑問に対する明確な答えはここには示されない。
『エイリアン』と『ブレードランナー』という2本のSF映画が彼にとっての頂点だった。でも、その先にも人生は続く。弟のトニー・スコットの死を経て、だからこそ、彼の分も映画を作らなくてはならないと思った彼が、「神」と「王」、(これは兄と弟のドラマでもある)との間に立つモーゼというただの「人」の苦悩を通して、選びとった決断の先に何があるのか、彼の答えが欲しかった。
そんなことより、まずリドリー・スコットがなぜ、これを今取り上げたか。その答えが映画になかったのが、がっかりだ。凄まじい迫力のSFXは驚異のビジュアルを実現する。でも、もう、そういうのには心動かされない。すごいね、で終わり。で? と思う。そんなことより、お話自体の魅力で引っ張ってもらわなくては。まるで楽しめない。キリスト教徒なら楽しめるのか。よくわからない。
10の奇跡を科学的に実証するとか、宣材には書かれているけど、そんなことより自由を求めて海を渡るというロマンに心魅かれる。船もないのにそれを可能にする。しかし、エジプトから逃れても新大陸! には自分たちの居場所があるわけではない。モーゼは40万のヘブライ人を導くために家族との平和な暮らしを離れ再び都に戻ってくる。神の使徒となることに何の意味があるのか。
前作『プロメテウス』でSFと神話の融合を目指したから、その先にこれがあったというのか。『コロンブス』で新大陸を目指した彼だから、今回もその流れの先にこの企画が生じたのか。いずれにしても、そんな疑問に対する明確な答えはここには示されない。
『エイリアン』と『ブレードランナー』という2本のSF映画が彼にとっての頂点だった。でも、その先にも人生は続く。弟のトニー・スコットの死を経て、だからこそ、彼の分も映画を作らなくてはならないと思った彼が、「神」と「王」、(これは兄と弟のドラマでもある)との間に立つモーゼというただの「人」の苦悩を通して、選びとった決断の先に何があるのか、彼の答えが欲しかった。