J・A・バヨナ監督が14年ぶりに母国語であるスペイン語の映画を手がけた。ウルグアイからチリまでの飛行機に乗った45名の仲間たち。それはウルグアイのラグビーチームの遠征隊とそのサポーターである家族や友人たちである。(だから、英語ではなくスペイン語でなければならない)彼はハリウッドで大作映画を手掛けた実践と実績を経て、自分が一番やりたかった映画に挑む。大予算が必要な作品を娯楽映画としてではなく、ヒューマン映画として誠実に描くのは困難だったことだろう。だけど妥協は一切なしだ。
これは1972年にアンデス山脈で起きた遭難事故の実話をもとにして描いた人間ドラマである。すでにセンセーショナルなドキュメンタリータッチの『アンデスの聖餐』や、ハリウッド映画の『生きてこそ』という先行する作品があるけど、バヨナは我が道を行く。
だから真面目過ぎて重い。2時間半は長い。話は単調。だが、それは仕方ないことだ。彼はエンタメで作る気はない。淡々と彼らの72日間を嘘のない映画として描く。それが彼のやり方である。人肉を食うという出来事すら特別なことにはしない。生きるための必死の対応の一つとして、これも誠実に描く。食べるものがない雪山で、生き抜くためにギリギリの選択をする。残された人たちの戦い。嘘のない映画を作りたかった。きれいごとではなく、あの現実の前での真実を見つめる。
こんな地味な映画をNetflixは支援して製作した。劇場公開もして、全世界に配信している。偉い。