こんなタイトルのアクション映画なんて、きっと誰も見ないだろう。僕だって、嫌だ。時間がもったいない。だが、ビデオパッケージをちゃんと、見てみる。マイケル・ケインが主演している。もちろん原題はこんなアホなタイトルではない。ド派手なバカ映画でもないようだ。原題は主人公の名前である『ハリー・ブラウン』。
内容はチャールズ・ブロンソン主演の『狼よ、さらば』の現代版のようである。あの映画は先日リメイクさ . . . 本文を読む
これは一応エッセイ集なのかもしれないが、角田光代の自伝的なエッセイで、ここに描かれる旅をテーマにした雑感の一つ一つが、今の彼女を作り上げた原点として、しっかり描き切られてある。世界中を旅した彼女の旅行記なのだが、どこに行ったか、が問題にはされない。そこで何をして、何を感じたのかが、描かれる。ここではない、どこかに行く。それは初期の小説でも何度も描かれてきたことだ。あの寂しさは、彼女がさまざまな旅 . . . 本文を読む
第2回日韓演劇フェスティバル参加作品として上演された。再演2本立である。5年半前の初演が懐かしいと思うくらいに初々しい作品だ。まだ、あれから6年も経っていないのである。金さんは6年振りです、と言っていたけど、実際は5年半だし、東京公演からなら5年程だ。なのに、それがこんなにも懐かしいと思えるくらいにこの5年間でMayは成長してしまった。それは喜ぶべきことなのだが、前作『ビリー・ウエスト』を見たと . . . 本文を読む
この日本語タイトルはちょっと苦しい。ヒューゴは別に何も発明なんかしていないのだから、看板に偽りがある。でも、原題通り『ヒューゴ』だけではこの映画の内容がまるで伝わらないし、セールスを考えると、このくらいの嘘は必要なのかもしれない。だが、このタイトルでも、集客は望めないだろう。アカデミー賞を受賞してもこういうファミリー・ピクチャーはそれが集客にはつながらない。いろんな意味で難しい映画だ。
だが . . . 本文を読む
綿矢りさが本気で自分の思うことを小説に書いた。そんな気にさせられる作品だ。何の気負いもなく、ありのままの自分をさらけ出す。かわいいといわれて、偏見を持たれて、作家としての才能をちゃんと評価されずに、誤解されて、正当な評価もなされないまま、若くてかわいい女の子はいいね、なんて言われながらここまで、頑張ってきた。でも、そろそろ思いの丈をちゃんと吐き出そうではないか。本音トークを炸裂させてやる。それが . . . 本文を読む
こんなにもささやかな話で、1本の小説を綴るなんて、あまり例はないのではないか。しかも、それを気負うことなく、ありのままに見せていく。でも、それはささやかなドラマではない。本人にすれば重大事で、今直面している事態を乗り越えられないのなら、生きていけないと思うほどのことなのだ。それを大人は何を大袈裟な、と言う。たぶん。でも、それは人事だから言えることで、もし自分がそうであったなら、毎日は地獄だ。
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ケネス・ブラナーがハリウッドのこういうヒーローものを監督するなんて、もうそれだけで一見の価値がある、と思った。シェークスピアを中心にした「文芸もの」しか手掛けてなのに、なぜこれを引き受けたのだろうか。これまでの作品とはあまりに色合いが違うし、だいたいマーブルコミックの娯楽大作、そのうえ3Dである。どこをどう、とち狂ったのか。想像を絶する。
まぁ正直言うと、ちょっとした怖いもの見たさで、このD . . . 本文を読む
ただ100キロを歩くだけなのに、それだけでこんなにも自分が変わった気になる。記録に挑戦するとか、勝ち負けがある、とか、そんなものとは無縁のウォークラリーだ。24時間歩き続けるだけ。時間制限があり、それまでにゴールを目指すのだが、主人公の女の子は、叔父さんのいたずらで仕方なく、出場することとなる。体力もないし、自信もない。
それより何より、こんなイベント興味ない。大体100キロも歩けるはずもな . . . 本文を読む
3都市公演である。東京、福岡、を経て大阪で千秋楽を迎える。劇場も小劇場ではなく、ドーンセンターという中劇場を使う。「日韓演劇フェスティバル」の一環として、上演される企画ものだ。岩崎さんとしては久々にオーソドックスな作品となる。こういうリアリズムの文体で語る歴史の一断面を気負うことなく、正攻法で描く。
時間軸は1961年。その、とある1日に設定された。場所は大阪の下町。コリアンタウンの小さな旅 . . . 本文を読む
死神を主人公にしたシリーズの第3弾である。戒田竜治さんはこのシリーズを通して、とても軽やかなドラマの語り口を手に入れた。特に今回は、この枠組みを通してなら、普段より自由なお話を作れることを理解し、意識的に、この作品構造を活用する。チラシにもある「ボク、幸せやったんや」という単純な一言に向けて、とてもシンプルなドラマを作り上げる。なんだか拍子抜けするくらいにわかりやすいのだ。もちろん時制はどんどん . . . 本文を読む
家族の物語である。偶然にも2本とも。しかもいずれもジュリアン・ムーアが主演だった。レンタルしてきたときには、そんなこと気にも留めなかったから、ちょっとしたその偶然に驚く。しかも、彼女は同じような役なのである。主婦で、家族の崩壊を食い止めたいと願いながら、自分がその引き金を引いている。鈍感な女というとちょっと可哀想だが、結果的にはそうなる。どちらも最後は強引に上手く収まる。特に『クロエ』の方は、え . . . 本文を読む
東京から初めて大阪にやってきた劇団だから、ちょっとドキドキしながら、見た。どんな新鮮な芝居を見せてくれるのか、期待させる。しかも、若手ではなく10年以上着実に実績を重ねてきた中堅集団らしい。なんだかそういうのっていいなぁ、と思う。自分たちのスタイルをしっかりと持ち、それがぶれることなく、マイペースで芝居を続ける。そんな劇団がわざわざ大阪で公演をしてくれる。有難い話だ。
チラシにはこうある。「 . . . 本文を読む
シリーズ第6弾となる。こんなにも続くなんて思いもしなかった。きっと作品は好評で、作者もこの世界が大好きで、どんどん、友だち、家族の輪を広げていくうちにこんなことになったのだろう。これだけ登場人物が増えては収拾がつかなくなるのではないか、という心配をよそにして作者は自由気ままに連作を続けていく。まだまだ先がありそうだ。
こういう昔ながらのホームドラマが、これほど枯渇していて、にも関わらず求めら . . . 本文を読む
公開4週目の最終回でようやく見てきた。もっと早く見たかったのだが、機会を逃した。2時間半の大作だから上手く時間を合わせれなかったということもある。でも、もっと封切りすぐに見て、ちゃんと大きなスクリーンで見れたならよかった。悔やまれる。シネスコになると更に小さくなる劇場で見るのはもったいない映画なのだ。出来る限り大きなスクリーンで、このスペクタクルを目撃したかった。すさまじい戦争大作である。
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6つのエピソードにはそれぞれ切実な「我が家の問題」が綴られている。人からすればささやかでどうでもいいような話ではないか、というものも含まれるが、当事者にとってはたいへんなことばかりだ。なんだか訳知り顔で鼻につく、という人もいるだろうが、単純に、わかる、わかるで、読み流すのがいい。作者である奥田さんは上から目線でこれを書いているのではないのだから、素直に読むのが一番なのだ。ただ、読んでいてあまりに . . . 本文を読む