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映画・演劇のレビュー

『洲崎パラダイス 赤信号』

2024-07-26 05:08:00 | 映画
川島雄三監督の代表作として世間では認識されているこの作品、Amazonでの配信が終了するらしいので見ることにした。日活映画のたくさんの作品がこの数日で配信終了というサインが出ているけど、欲張っても仕方ないから、まず気になっていた未見のこの傑作をチョイスする。   冒頭のシーンから圧倒される。サイレンの音、ざわめき。クレジットバックには洲崎の町中、店先をカメラがどんどん横移動して人々の . . . 本文を読む
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追手門学院高校『雨を全部飲んだら砂漠にならない』

2024-07-25 20:51:00 | 演劇
まず、このタイトルに惹かれる。もちろんタイトル自体にはあまり意味はない。だが、とても観念的で小難しい芝居、というわけでもない。いや、どちらかというとわかりやすい。まるでエッセイみたいな軽やかな作品である。彼らが過ごす日常のスケッチ。なんとこれは阪本先生が抜けてから初めてのHPF復帰となる新生追手門学院高校作品。17人の「わたし」(パンフにはキャスト全員が「わたし」と記載されている)たちが、舞台を駆 . . . 本文を読む
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『マッチング』

2024-07-25 10:45:46 | 映画
『ミッドナイトスワン』以降、どんどん新作が公開される今絶好調の内田英治が、今回も原作・脚本・監督を担当する最新作。2月の劇場公開から早くも配信で公開される。彼はさまざまなタイプの映画を手掛ける。しかもそれがいずれもオリジナル台本というのがまた凄い。ただ毎回つまらない。今回もまるで感心しない。同時期公開だった『サイレントラブ』は劇場で見たがあれもまるで乗れない映画だった。だからこれは劇場で見ることを . . . 本文を読む
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住野よる『告白撃』

2024-07-25 07:27:00 | その他
この安直なタイトルをどう受け止めるか。あまり期待せずに読み始めた。あまりにたるい。話がまるで進まない。これはムリと思った。告白劇である。10年以上の時間秘めてきた(ダダ漏れだけど)想いを告げるまでの300ページ。長い。20歳、学生時代から10年。30歳になった仲間たち。なかよし6人で一泊旅行に行く。結婚が決まった千鶴は、彼女に恋心を抱く親友響貴にそれを伝えたいが彼を傷つけないように伝えたいから、こ . . . 本文を読む
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『坂の上の本屋さん』

2024-07-25 07:25:00 | 映画
この優しいタイトルと84分という潔い上映時間に心惹かれて、これはきっといい映画だと思った。本屋さんの話というだけで加点してしまう。それにキネマ旬報で川本三郎さんが褒めていたし。劇場では見逃しているからようやくの配信がうれしい。  期待以上に素敵な映画だった。クラウディオ・ロッシ・マッシミ監督作品。調べてみたけど、これが初めての映画のようだ。50年生まれだからもう74歳になる。この映画を . . . 本文を読む
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『大いなる不在』

2024-07-25 05:39:00 | 映画
昨年の『高野豆腐店の春』に続いて藤竜也が主演する。最近高齢者が主演する映画は多い。昔ならありえなかったことだ。それだけそこには深刻な問題が山積みしているし、誰もが気になっている。需要があるから作られる。今映画の客層は若者ではなくシニアが高いパーセントを締める。   認知症を扱う。だがお話は単純ではない。まさかの始まり。機動隊がある民家を取り囲む。突入するという緊迫したシーンから始まる . . . 本文を読む
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『墓泥棒と失われた女神』

2024-07-24 22:28:00 | 映画
あの『幸福なラザロ』を撮ったアリーチェ・ロルヴァケル監督最新作。この不思議なタイトルにも心惹かれる。一見なんでもないタイトルだが、「墓泥棒」と「失われた女神」というカップリングはどんな取り合わせか、と気になる。そして映画自体も、確かにこのふたつが組み合わせてあるけど、やはりかなり不思議なカップリングであり理解に苦しむ展開。それが平然としたタッチで描かれていく。何が起きているのか、よくはわからない。 . . . 本文を読む
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森見登美彦 他3名『城崎にて四篇』

2024-07-24 22:18:00 | その他
これは相変わらずの森見ワールド。そこに共鳴した3人が共同作業に加わった。こんなフェイク小説をでっち上げる。志賀直哉先生の作品も同時に収録して欲しかったけど、さすがにそれは無理か?   もちろんこれは志賀直哉へのオマージュだが、4人が同名タイトルで書いた4篇。もちろん『城崎にて』。大胆な挑戦であり、お遊び。森見登美彦作品は志賀直哉の亡霊が出てきて喝を入れたりする。   円 . . . 本文を読む
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長尾高校『ローカル線に乗って』

2024-07-24 20:44:00 | 演劇
今年のHPFはこの作品から見ることになった。2月に学内公演で見た『祭りよ、今宵だけは哀しげに 銀河鉄道と夜』に続いての「列車での旅」を描くシリーズ第二弾である。(もちろん、これはシリーズではなくたまたまの結果だろうが)彼らは時空を超えて旅する。銀河鉄道の宇宙(空)の旅に続いて今回は時代を越える旅が描かれる。台本は昨年全国大会で上演されたという島根県三刀屋高校の作品(作、亀尾佳宏)。それに長尾高校演 . . . 本文を読む
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原宏一『同居鮨 間借り鮨まさよⅡ』

2024-07-23 18:59:00 | その他
さすらいの料理人、まさよ。鮨職人。シリーズ第二弾。今回冒頭のエピソードは小学5年の女の子が主人公になる。痛ましい話からスタートするが、これがとてもいい。   フィリピン人の母を持つ少女。親戚の葬儀でフィリピンに帰ったまま戻って来ない母を待つ。まさよが、今している子ども食堂にたまたまやって来てふたりは出会う。たったひとりの少女が母と再会できるか、を描く感動の一編。これだけで長編にしても . . . 本文を読む
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『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』

2024-07-23 12:49:00 | 映画
これはまるで懐かしのピーター・ハイアムズの『カプリコン1』のような話ではないか、と見る前には思ったけど、実際見てみるとまるで違う映画だった。まぁ当たり前か。あれはアクション映画だが、これはどちらかというと、実録ドラマで恋愛映画、コメディタッチのお仕事映画だったりもする。それにしてもこれは久々のハリウッドらしい大作映画で、ゴージャス。事実を通して、まさかのフィクションを加味する。その絶妙なブレンドが . . . 本文を読む
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山野辺太郎『恐竜時代が終わらない』

2024-07-22 16:54:00 | その他
50歳になる男。封印していたこと、恐竜時代の話をみんなの前で喋ることになる。何故か現役の大学の先生から話を聞きたいと連絡がありお会いしたら、今度は話せない。機会を改めてたくさんの人たちの前で話すことをお願いする。すると教授は大学の講座で学生たちの前で話す機会を作ってくれる。ここまでが前座みたいな部分。   本題は彼の話す恐竜時代の物語なのだが、これがなんだか不思議な父と息子のお話にな . . . 本文を読む
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大阪高校演劇祭HPF2024

2024-07-22 16:29:00 | 演劇
今年も夏休みと同時にHPFがスタートした。今年の会場はメイシアター、一心寺シアター倶楽、ウイングフィールドの3ヵ所。13団体(高校ですね)が21日から8月3日まで公演する。  毎回楽しみなのだが、今回は久々に自分が授業で教えているクラスの生徒が出る芝居、なんてのもある。(僕は現役時代も基本演劇部とは関わってないけど)まぁ基本的には身内感覚は排除して見るのだが、たまにはこういうのもいいか . . . 本文を読む
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劇団未来『パレードを待ちながら』(再々演)

2024-07-22 15:27:00 | 演劇
今年の春演参加作品。なんと劇団としては3年連続の公演となった。もちろんのこと、最初はこんなことになるとは思いもしなかったはず。初演は2022年。その後作品は文化庁芸術祭優秀賞、関西えんげき大賞優秀作品賞、大阪演劇フェスティバル作品賞を受賞した。  今回の東京公演は関西えんげき大賞の副賞での公演となるらしい。駒場アゴラ劇場で5ステージ。毎回ほぼ満席になったと聞く。僕は今回は配信で見せても . . . 本文を読む
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『ドッグマン』

2024-07-22 13:01:00 | 映画
これは劇場公開時に見たかった映画だけど、すぐに劇場から消えてしまったから見逃してしまっていた。今の時代は見たい映画は、公開から1週間で見ないと見れなくなる(可能性が高い)のが現実。(余談だが、この映画の監督であるベッソンの傑作『グレート・ブルー』は極端だけど、たった1週間で打ち切られた。僕はあの時たまたま難波の東宝敷島で見ていたから大きな劇場で見れた) 3月公開していたこの映画がさっそくAmaz . . . 本文を読む
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