吾輩はタニシである。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
何でもメダカたちと一緒に連れてこられた事だけは記憶している。
吾輩はクアトロで始めて人間というものを見た。
しかもあとで聞くとそれはグルメという人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。
このグルメというのはしょっちゅうクアトロに集まっては、吾輩のご主人に勧められて、変わったものを食べて飲んで喜んでいる。
このグルメたちが吾輩を観察しては、お前は食べる価値がないなと断言する。
まず風貌がよろしくない。
タニシという名前が食慾をそそらない。
この二点が吾輩の評価を大きく左右したようだ。
これは、吾輩にとっては有り難い評価である。
風貌のよろしくない吾輩の友人、ウニなどは殻からはずされているからグルメたちの受けがよいのだろう。
ヒゲダラなどは、本名のヨロイイタチウオと呼ばれればこのグルメたちの餌食に成らないで済んだのではないだろうか。
今日はそのグルメたちが、“ヒゲダラのグリル/ウニソース”に舌鼓を打っている。
吾輩はグルメたちを観察すればするほど、その生態が解らなくなる。
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