かの皇帝ナポレオンが愛したチーズがチーズの皇帝と云われるエポワスである。
うたたねをしたナポレオンの目を覚まそうとした兵隊が、ナポレオンの好物のエポワスを鼻先に近づけると、「ジョセフィーヌ今晩は勘弁してくれ」と云った小咄のあるチーズである。
この小咄の解説は控えさせていただくが、このチーズはとてもニオイがきつく独特である。
神様の足の臭いとも例えられるチーズだ。
チーズの表面を塩水やお酒などで洗いながらチーズの熟成に適した菌だけを繁殖させる方法がウォッシュタイプと呼ばれるチーズの作り方である。
エポワスなどのウォッシュタイプのチーズは表皮がとても臭く納豆やクサヤのようなニオイがするのが特色である。
しかし、その表皮の内側にはトロリとしてなめらかな美味しいチーズがある。
内側の美味しいところだけをスプーンにでもすくって食べるのはとても贅沢な楽しみである。
「ジョセフィーヌ、明日はクアトロで日本酒にエポワスを合わせてみるか」
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