湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ストラヴィンスキー:ロシアの乙女の歌

2017年07月24日 | Weblog
◎シゲティ(VN)作曲家(P)(COLUMBIA/PEARL他)CD

「マヴラ」から。ストラビンスキーの小品の中には驚くほど素直な曲があるが、これもそのひとつだ。ヴァイオリン協奏曲での助言/初演で知られるドゥビンスキーの協力でつくられたヴァイオリンとピアノのための小曲で、全編がロシア民謡である。変拍子は「弦楽四重奏のための3つの小品」の一曲目にすこぶる似て、意識しなければ非常に自然に聞こえる。プロコフィエフ程派手ではないが、現代的手法や世俗的表現が要領よく採り入れられ、決して古さを感じない。一歩間違えると「お涙頂戴」になるところを、かっちりした構成により表現の幅を限定することで、クールな楽曲に仕上げている。それ故になおさらノスタルジーがしみじみ感じられる。例えばオルゴールの音にノスタルジーを感じる人は多いが、オルゴールの機械的で非人間的な音だからこその魅力という所は大きいだろう。ストラヴィンスキーの情感はそのようなものだと思う。ギーコギーコと古ぼけた壊れかけのヴァイオリンによる演奏で路地裏で聴きたい。そういう曲だ。シゲティの音は曲にうってつけの枯れた味わいがある。寂しいひびきは古い録音の中でひときわ寂しさを訴えかけてくる。絶品です。(1995記)

※1995年の記事です
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