
モノラルBBCのクリアさも良いが、愛着あるのは古いスタジオ盤だ。LPでもレーベルによって音が違い、CDでも多分そうなのだろうけど(LPしか持ってません)、フルートを始めとする木管ソロ楽器の巧さ、音色の懐かしさ、ボールトの直截でも熱く鋭くはっきりと迫る音作り(1楽章、終楽章など複雑な管弦楽構造をビシッと仕切って、全ての音をはっきり聞かせてしまうのには脱帽・・・ここまで各細分パートしっかり弾かせて、堅固なリズムの上に整え、中低音からバランス良く(良すぎてあまりに”ドイツ的”に)響かせている演奏はそう無い)はどの盤でも聞き取れる。揺れないテンポや感情の起伏を見せない(無感情ではない。全て「怒っている」!)オケに、野暮も感じられるものの、表現主義的なまでの強烈なリズム表現は曲にマッチしている。50年代ボールトの金属質な棒と、曲の性向がしっかり噛み合った良い演奏。もっとも、ウォルトンの曲に重厚な音響、淡い色彩感というのは、違和感がなくはない。,