ロジンスキ指揮NBC交響楽団(SLS)1938/4/2live
オケが俊敏で重くならないのはロジンスキにとってもメリットだ。このロマンティックな曲から現代性を浮き彫りにしトスカニーニに中欧的な色彩を加えたような優れた演奏になっている。20世紀初頭の作品なので同窓バルトークの後年の作品のようなものは期待できないし、ドホナーニはそういう作曲家でもないが、この頃多かったリヒャルト・シュトラウスの絶大な影響下で爛熟した響きを使いながら、変に壮大にせず締めるとこ締めて軽妙な表現をなしている非常に職人的な良さのある作品。原曲はピアノだと思うが単なる編曲ではなく、ブラームスというよりロシア国民楽派の作品の野心の見せ方のようなものがあって極めて平易で楽しめる(四楽章冒頭はラインの終楽章かと思うが)。オリエンタルな旋律のあらわれる三楽章もリムスキーより遥かに洗練され中欧化され隙きが無い。また、ロジンスキーがただ力で押すだけの演奏をしたと思ったら大間違いなことがわかる。この人も職人的な人で、カラフルな曲はカラフルにスマートにやってのけるのだ。録音が30年代にしては針音程度のノイズでしっかり聴けるのでサージェントより古いものが聴きたければぜひ。わりとハリウッド映画風なので気軽に。