湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲(交響曲第1番)

2017年05月09日 | Weblog
○ロン(P)パレー指揮コンセール・コロンヌ管弦楽団(LYS/CASCAVELLE/COLUMBIA)1934/5/24,25・CD

フランクからの影響を更に清新な感覚で再構成した見事な曲だが、3楽章制でピアノ独奏が主役となることからピアノ協奏曲的な扱いをされることが寧ろ多い作品である。セヴァンヌ地方の民謡を全面的に用いているところに同時代の北・東欧で隆盛を極めた国民楽派に共通する感覚も感じられる。あっけらかんと愉快な民謡はすこぶる賑やかに曲を盛り上げている。何といっても牧歌的な旋律が沸き立つ3楽章が聞き物だが、このあたりはドビュッシーの「幻想曲」など後進の作曲家の作品と共通する軽い和声感覚が面白い。ぽかぽか暖かくなるような交響曲、異色だがフランスのシンフォニーを語る上では外せない名曲だ。この演奏はパレー・フランス時代の数少ない記録のひとつとして重要なだけではなく、フランス・ピアノ界の重鎮マルグリート・ロンの独奏が聞けるものとして特筆できる。この録音も他のロンのものの多分に漏れず音が悪い。オケ部分が薄くなるのはまだいいが、ピアノが細かい音符が聞こえず弾けていないように錯覚させられるのが惜しい。この時代のピアノ協奏曲録音全般に言える事だがとくにパリ録音は悪いように思う。細かいニュアンスを聴き取るのは土台無理な話し、まあこの曲は明快平易なのでそれほど気にはならない。1、2楽章がやや没個性的な感じもしたが、音が悪いせいかもしれない。パレーのバトンがうまく整理しきれていないように聞こえるところがあるが(テンポが一部ズレてくるみたい)これは演奏のミスなのか録音上の事故なのかよくわからない。だがパレーの即物的なまっすぐな棒はこの頃既に萌芽が出ていたようで、ミュンシュにちょっと似た感じもする(いや、音的にはマルティノンか?)。マーキュリー録音の時代とは違って音にラテン色が出ているのは嬉しい。ロンはテクニックにまかせて突進するほどの気概は感じないが(筆者には元来そういう奏者のような印象があったのだが)明るく煌くような音色が雑音の中から聞き取れ、想像力を掻き立てる。録音の問題はあるがとりあえず○ひとつつけさせていただきます。最近CASCAVELLEのロン集で改めてCD復刻された。(2003/11記)
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