湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

アンドリーセン:交響的習作

2005年03月13日 | その他古典等
コンドラシン指揮ACO(ACO)1979/11/24

かなり硬派なゲンダイオンガクから入る曲だが、冷ややかに幻想的な雰囲気はコンドラシンの音作りの硬派なところによくマッチしている。急峻部に入って音楽はいきなりわかりやすくなるが、調性の不安定さは残る。迫力のある演奏だし悪くはないが、曲が弱いか。無印。放送録音か?ACO100周年ボックスに収録。
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ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

2005年03月13日 | ショスタコーヴィチ
○A.ヤンソンス指揮レニングラード・フィル(ALTUS)1970年7月1日LIVE、大阪フェスティバルホール・CD

明るく流麗でそつのない速いインテンポが持ち味の指揮者。でもドラマの起伏は大きなスパンでここぞというところにつけられている。レニフィルの迫力と威力に圧倒されつつ、特にペットを始めとするウィンド陣の野太いロシア声に心煽り立てられることしきりである。こんなオケを生で聞いたらそれは感動するはずだ。ムラヴィンスキーのような凝縮と抑制がなく、かといってグダグダなロシア指揮者の系譜とは隔絶した、しっかりした密度の高い演奏ぶりは1楽章クライマックスあたりで既に胸のすく思いというか、猛々しい気分とともにどこか清清しさすら感じる。終盤の静謐な美しさも筆舌に尽くしがたい。幻想味とともに生身の演奏の肌触りがするのがいい(もちろん録音のせいもあろう)。テンポ的にはちょっとあっさりしすぎの感もあり、編集上の都合かアタッカのノリでそのまま2楽章に突入してしまうこととあいまって1,2楽章が同じテンポで同じ気分で繋がれているような、楽想の切替の面白さがやや減衰している感もある。ただ単品として2楽章の演奏を聞くならば最高にイカしている。やはり速めのテンポで強力な弦(ソロの美しさ!!)のガシガシ迫ってくる力強さや一糸乱れぬアンサンブル、そこに絡む管打のまるで軍隊のような規律と激しさを兼ね備えた演奏、そして全体に実に自然に組み合わさりこなれて流麗な音楽の流れに、マーラーのエコーと呼ばれたこの奇怪な楽章にもっと前向きというか、急くように突進してケレン味がない、いい意味で聞き易い音楽に仕立てていることは確かだ。

3楽章は無茶苦茶美しい。これは録音のよさもさることながら、個人技の勝利といおうかオケの勝利といおうか、アンサンブルを構じるのが非常に巧いこの指揮者の流麗で緻密な設計の上で、静謐で、それでいて歌心に溢れた感情表現を各セクションが競うように尽くしている。これは素晴らしい音世界。こういう感情的な暗さを表現するためにあのちょっと浅めの2楽章があったのか、と思わせるくらいだ。それにしてもレニフィルは減点のしようがない完璧さである。やはりムラヴィンスキーとはどこか違う、これは主観もあるかもしれないが、ムラヴィンスキーよりも現代的であり、なおかつテンポ以外の部分での「感情の幅」というものがより大きい気がする(ムラヴィンスキーのほうが起伏は大きいと感じるものの)。微妙なニュアンスのつけ方とかになってくるのだろう。その積み重ねが印象の大きな差となって出てきているわけである。とにかく美しい演奏だ。

4楽章は案外遅いテンポで始まり、ちょっとだけ弛緩を感じる、特にブラス。ノリはしかしすぐに定着してきて流れが構成され始めると分厚い弦楽陣の力強い表現がぐいぐいと音楽を押し上げていく。フルートの音色がいい。最初の「かりそめの勝利」にいたる道筋はすんなりとしているが、かなり気分は高揚っせられる。勝利の崩壊を示すティンパニ・イワノフの連打の生生しさを聞くに録音の勝利の気もしなくもないが、ムラヴィンスキーよりやっぱり新鮮に聞こえる。娯楽的な要素はないはずなのだが娯楽性を感じるのは、いいことと言っていいだろう。静寂があたりを覆ってくると、ヴァイオリンのpの過度に緊張感がなく、でも絶対乱れないという恐ろしい音で、気持ちのよい流れが形作られていく。音楽は偉大な盛り上がりを見せ始め、大きな本当のクライマックスまでの道のりはじつに自然で、扇情的だ、特に最後のコーダに至るまでのリタルダンドの凄さ(急激にかかるタイプではありません!!設計上大きくかけられていくリタルダンド)、真のクライマックスにふさわしい勝利の表現にはもはや何の言葉もいらない。この指揮者はフィナーレが本当に巧い指揮者だ!ブラヴォー嵐。半分はレニフィルに向けてのものだろうけど、ヤンソンスの技術にも拍手を贈りたい。○。それにしてもaltusの海外向けサイトがぜんぜん更新されないのはやはり状況が厳しいのだろうか。世界中でいちばんマニアックな日本のファン向けのタイトルでは・・・。日本では結局キングが扱っているので磐石なのだが。
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ブラームス:交響曲第2 番

2005年03月11日 | ドイツ・オーストリア
○ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィル(CON MOTO:CD-R)1952/11/2LIVE・CD

しっかりした構成感を持ったうえで躍動する音楽。1楽章から圧倒的なオケの合奏力に感服させられる。ムラのあるオケとされることも多いがミトプーの元でもこんなにも一体感のある音楽を作り上げることが実はできたのだ。ブラームスのようにカッチリした曲だからこそのレベルの高さも感じるがそれだけではあるまい。2楽章の憧れに満ちた響きもどうだろう、緩やかな楽章だってうまくやれるのだ。感傷的なグダグダに陥らない、すこぶる幸せな曲の気分を存分に味わわせてくれる。構造のための挿入句のような詰まらない内声のフレーズも疎かにしないからこのまとまりが出るのだ。4楽章は短い序奏のあといきなり物凄い迫力で爆発。速いし激していく指揮者がわかる。そのため多少流れるし極めて瞬間的なコントラストを意図したかのような第2主題の異常な遅さはいつものミトプーそのもののやりかたで、ブ厚い弦の旋律が壮大だ。激しい音楽はかなりのカタルシスをあたえながらガシガシ進んでいく。スピットな変化をアクセントに織り交ぜて豪奢なフィナーレにむかう音楽の前進力こそミトプーの命。拍手が最初だけで切れているがブラヴォ来ただろう。録音悪く○。

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ファリャ:三角帽子 第1組曲、第2組曲

2005年03月10日 | その他ラテン諸国
○アンドレエスク指揮ベルリン交響楽団(ELECTRECORD)CD

なかなか清清しい演奏。地味といえば地味だが技術的にはかなり整備され手馴れた感じを受ける。ややそつがない解釈で目立った表現はないが、組曲ふたつを並べて味わえるという点ではいい感じのレコードに仕上がっている。おまけで○。
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メイエルはメイエだった!?

2005年03月09日 | Weblog
昨日渋谷タワーに行ったらフランスのピアニスト、メイエルのヒストリカル録音がEMIの例のシリーズで出ていたが、店頭での表記は「メイエ」に「変わって」いた。かつてEMIのボックスなどでは「マルセル・メイエール」MAYERというフランス語とドイツ語が混ざったような表記がされていたのでてっきり慣習的にそう表記されているのかとおもっていたが、フランス語読みに統一する気のようだ。なんか違和感ある・・・。

バリ弾きタイプの女流ピアニスト、古典に本領があると書いてあったけどむしろショパン以降の録音のほうが有名、近代マニアにはリヒャルトやストラヴィンスキー、そしてミヨー自身との楽しい「スカラムーシュ」連弾で知られていると思う。そういえば感傷の揺れの無さはむしろ古典向きかもしれないなあ。

いずれにせよ前記事にも書いたがこのシリーズ、ほんとに侮れない。発売中止になった悔しい盤もあるけど、いずれもほとんどCD化されていないヒストリカル録音(ようは貴重録音だからといって単品で高く出しても現代の新しい録音に負けるのが今のクラシックCD販売事情ということ)ばかりのシリーズ、全部買ってもたいして懐の痛まない、でも聴くのは一苦労の贅沢です。
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ブランコ、ツィピーヌのパリ録音集CD化!

2005年03月08日 | Weblog
遂に出やがった!EMIの2枚組ヒストリカルシリーズでフレイタス・ブランコのフランス録音全集とツィピーヌのオネゲル録音集が!合わせて何枚のLPが、プレミアつけられて中古屋に並んだことか・・・何回通っていくらつぎこんだことか!

それだけの価値ある2組がこの安さ(1300円台)!とくにブランコのラヴェルは5枚買っても安いっ!伝説のボレロを悠然と味わうがいい。

絶対買い!

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チャイコフスキー:交響曲第4 番

2005年03月02日 | チャイコフスキー
○オッテルロー指揮ハーグ・フィル(PHILIPS)

極めてドイツ風味の堅牢で押しの強い演奏。表現意思が強い演奏というのは気持ちがいい。骨太のドラマが展開される1楽章はまるでフルヴェンのブラームス(同曲と言わないのがミソ)。これはチャイ4嫌いの私でも楽しめる。激しいが決してだらしなくならない、またロジンスキ的に凝縮収斂するのでもなく、構築的でしっかりしたリズムの上に勇壮に展開される統制された音楽は、これがチャイコではないとけなす人がいれば私は喜んで「チャイコ」の方を捨てるだろう。2楽章の悲哀は美しい音色の中に男らしい強さを秘めている。テンポ変化がなかなか面白いが少し気まぐれな印象もある。逆にこれがオッテルローなのだが。弦のザッツの揃い方がハンパではない。とにかくオケも物凄い演奏でもある。ポルタメントの音量も絶妙でいやらしくならない「音楽的な」表現が清々しさをかもす。私のLPが何故かこの楽章の途中でB面に変わるのは大きなマイナス(初期盤だけか)。3楽章はエスプリに欠けるかもしれないが比較的しっかりしたリズム取りでドイツ式を好む人には向くだろう。重心の低い音作りが足枷か。4楽章はドヴォルザーク的でさすがに民族風味を抑え切れない。ここも爆発的な力感と派手な音響の半面やや構築性や解釈が先に立っており、前のめりで突き進むようなものを求めると食い足りなさを感じるかも知れないが緩徐主題の哀感は補って余りある印象深いもの。全体設計が余程うまくできていて、プレスト主題だけを聞きたいという人を除けばきっと何かしら心に残るものをもたらしてくれる佳演だ。録音の悪さを鑑みて○か。

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