湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ラヴェル:ラ・ヴァルス

2009年12月18日 | ラヴェル
○ベイヌム指揮ACO(DECCA)CD

リズムは切れており中欧ふうの充実したひびき、微妙なニュアンスがいい。変に即興的なルバートをつけず最後まで突き通すのもよい。半面やや統制が甘いと感じられる部分や厚みが一定しないと感じられるところもある。録音が古いせいもあってごまかしがきかないのだろう。○。
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ドビュッシー:管弦楽のための映像

2009年12月17日 | ドビュッシー
○ベイヌム指揮ACO(DECCA)CD

ベイヌムらしいというか、イベリアの両端部が飛び抜けていい。明瞭なリズムに充実したひびき、胸のすくテンポ。多少単調だがミュンシュともまた違った、整理凝縮された勢い、というようなものが聞かれる。末尾はこれしかありえないというような、淡泊にも誇張にも振れないきっぱりしたもの。だが対して情緒的な、すこししっとりした、淡彩な印象派の表現が要求される両端楽章にイベリア中間部が、辛い。オケの特性柄管楽器の音色に赤銅色の艶がつき無駄に下卑た主張を感じさせる場面が目立ち、チャイコフスキー的だ。色彩感、職人的な楽器のさばきは上手いが、リアル過ぎてきこえる。よくてシベリウス的とでも言うか。春のロンドにとくに違和感があった。スクリアビンのようなむせ返る表現は夜があけきらず酒の重くのこった朝のよう。イベリアだけならかなりいいが、全体通してでは○のままか。
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ドビュッシー:英雄的な子守歌

2009年12月17日 | ドビュッシー
○ベイヌム指揮ACO(DECCA)1957/5/27,28CD

ベイヌムのこのあたりの録音は初期ステレオということで、CDではとくに条件の悪さが目立ってしまっている気がする。この地味な曲もひときわ地味に篭った音で響き、サティ的なミニマルミュージックの趣すらある。ベイヌム自身の資質もこのオケの特にブラスの特質もあり、暗く重い面がはっきり出た演奏となっている。いちおう○。
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ルーセル:交響曲第3番

2009年12月16日 | フランス
○ミュンシュ指揮ラムルー管弦楽団(FRENCH BRO SYSTEM/ERATO他)1965/4・CD

<後補>
FBRO盤は1968/8の放送プログラムだが、ERATO盤(ラムルー管とのセッション録音)と演奏時間が完全一致。楽団表記は無いが調べると演奏団体はORTFではなくラムルー管弦楽団と断定されており、同一録音であることは間違いない。環境雑音やミュンシュの怒号もリマスタリング版はともかくERATO原盤には入っているそうなので、裏面のミヨーの小交響曲抜粋(ルクセンブルグ放送交響楽団)ともども既存音源である。このレーベルはラジオ放送の記録なので、そういうものがあるのは当たり前ではあるが、アナウンスで曲紹介があること以外はモノラルの聴きにくい音で意味がない。

テンションを煽るような表現がみられ、3楽章までは他録と同様だが、緊密に出来ている。4楽章冒頭のテンポが一旦落ち着き生硬になるのは他録とやはり同じだが(このあたりで指揮台がガタンという音がする)、じきにこなれてきて終結(大団円というより駆け抜けるといった感じ)に向けて攻撃的な手を緩めない。演奏的にも統制されている。木管が美しい。弦はこんなものか。
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ラヴェル:ピアノ協奏曲

2009年12月10日 | ラヴェル
○アンリオ・シュヴァイツァー(P)ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(WHRA)1958/3/15live・CD

晩年なじみの組み合わせだがこの録音が新発掘なのかどうかわからない。印象としては適度に派手でなかなか楽しめるが技術的なことやライヴなりの瑕疵を気にする向きには、1楽章始めのほうのオケのばらけぐあいや生硬なテンポ設定に一部ソロミス、3楽章にはオケは素晴らしく一気呵成に攻めるもののソロミスがかなり目立つ、ということを言っておかねばならない。ロンの表現に沿ったような解釈だが、ちょっと若い。2楽章を頂点として織り交ざるイマジネイティブな情景が晩年ラヴェルには珍しく、どの演奏でもそれなりに印象深く感じられるものだが、ミュンシュの音彩が実に素晴らしい。むせ返るようでもある。ピアノソロも細かい粒をたてた美麗で繊細な、抑制された印象派ふうの表現が印象的。総じてライヴなりに、であり、音はこのてのものにしてはいいがモノラル。○。
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プロコフィエフ:キージェ中尉組曲

2009年12月09日 | プロコフィエフ
○ライナー指揮シカゴ交響楽団(WHRA)1945/1/14・CD

極めて古びた録音ではあるが、こんにち我々がイメージする「キージェ中尉」といえば「この」イメージだろう。アメリカナイズされた、ちょっと色のついた、でも明快なキージェ中尉。カリカチュアを皮肉ではなくほのぼのした「暖炉の音楽」として提示する、ライナーは厳しい指揮者だがやはりプロフェッショナルである。技術的にちょっと瑕疵があり、速い場面で弦がばらける箇所が散見されるが、おおむね安心して、要望どおりのものを聴ける。ま、プロコといえばこの曲なんだろうな、というクリスマス間近な感想文。
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ラヴェル:ラ・ヴァルス

2009年12月08日 | ラヴェル
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(WHRA)1958/11/29LIVE・CD

まー、よくもまあここまで自己流でやりたい放題。バチンバチンリズムを叩きシェルヘンのように即興的なデジタルな変化をつけまくる。およそワルツではない。人工的なスウィングを無理矢理貼付けルバートしまくり、録音のせいもあるがとにかく陳腐が売りのラ・ヴァルスとは認識しがたいくらい「現代的」に聞こえる。オケは味も艶もなくただその機能をミュンシュの棒がままに必死で発揮するだけで、それが何とも可笑しくてよい。テンションが上がり切ったミュンシュとバラバラになりながらもつけていくオケ、という典型だ。ミュンシュ好きなら聴いても損はない。ラ・ヴァルス好きはやめておこう。○。
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ラヴェル:序奏とアレグロ

2009年12月08日 | ラヴェル
ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(WHRA)1955/10/8・CD

この曲は大編成でやっちゃいけない!よく音量バランスがとれたというくらいで、録音が極めて悪いためとも思われるが、典雅で繊細なフレーズを沢山の弦楽器でやられるとさすがにミュンシュ的なバラけや勢いの空回りが目立ち、ほんとにラヴェル指揮者だったのか?というくらいロマンチックに揺れすぎでもある。とにかくアンサンブルとしてダメ。無印。
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ドビュッシー:三つの交響的エスキース「海」

2009年12月07日 | ドビュッシー
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(WHRA)1958/10/4LIVE・CD

これはいつものミュンシュのちょっと崩れてるときの海で録音も余りよくはなく、聴き所よりちょっとどうかという点のみ指摘すると、3楽章の終盤でブラスが斉唱する場面、余りに雑なのだ。ぶっきらぼうで音の切れ目もはっきりせず、つまりは投げやりである。何かあるのか疲れたのか?○にはしておくが・・・
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チャイコフスキー:イタリア奇想曲

2009年12月06日 | チャイコフスキー
○ラフリン指揮モスクワ・フィル交響楽団(vista vera)1958・CD

これはリムスキーの録音より20年近く下るにもかかわらず音量が不安定で弱く、演奏的にも印象が薄い。ソロで剥き出しになる管楽器、とくに木管の色が非常に艶めいて美しいのだが、楽器間の受け渡しに音色的断裂がはっきり聴き取れてしまうのはロシアらしいとはいえちょっといただけない。弦楽器がぱっとしないのはラフリンにはよくあることで、スヴェトラなどにも時折聴かれたところだが、これはロシアのセンスというか流儀なので(ムラヴィンなんかは全然違うけど)仕方ない。いずれ無印にしてもいいくらいだが、管楽器を評価して○。
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リムスキー・コルサコフ:スペイン奇想曲

2009年12月06日 | リムスキー・コルサコフ
○ラフリン指揮モスクワ・フィル交響楽団(vista vera)1940・CD

じつに威勢のいいスペ奇で、ちょっと中だるみしたりするところも含め人間臭い、ラフリンらしい演奏になっている。ゴージャスでボリュームたっぷり、ロシア的などぎつい色彩味溢れる音楽はまったくラフリンらしいところで、オケがモスクワ・フィルだけにとくに管楽器群にアドバンテージを感じる。瞬間湯沸かし器的なテンポアップにリズム強調もしっかりついてきており、いや、この曲をちょっとレトロに聴きたいというのなら、神経質でなければ適している。○。
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ピエルネ:鉛の兵隊の行進曲

2009年12月06日 | フランス
○ヴォルフ指揮ラムルー管弦楽団(POLYDOR)SP

ドビュッシーらの前には古臭く地味なピエルネだが、清らかな流れとあい響きあう音色の美しさはやはりこの時代の新しい世代ということを認識させる。ピチカートとハープで収束していくさまはチャイコのような派手派手しい律動とはっきり違うものを提示する。ヴォルフ最盛期の演奏のさまも音色感に重点を置き軽やかさを売りにしている。○。
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グノー:マリオネットの葬送行進曲

2009年12月06日 | フランス
○ヴォルフ指揮ラムルー管弦楽団(POLYDOR)SP

時期的なものもあるが音がいい。ディズニーな音楽を楽しく盛り立てるコンセール・ラムルー管の色彩的な表現。ヴォルフの引き締めも心地よい。
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シューベルト:軍隊行進曲(ピアノ三重奏編曲)

2009年12月06日 | ドイツ・オーストリア
○サモンズ(Vn)スクアイア(Vc)マードック(P)(COLUMBIA)SP

素直に楽しい編曲で、学校の音楽教室のようなものである。だが豪華な面子だ。どうやってもスカスカになりそうなものだが、弦二本がリズムを威勢よく煽りながら雄弁に主張して、ピアノ伴奏とのバランスをとっている。○。
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チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番~Ⅲ.

2009年12月06日 | チャイコフスキー
○ロンドン四重奏団(COLUMBIA)SP

ロンドンQは巧い、ファースト一本でもソリスト級の説得力があり、かといってケレン味は少しも無い、テンポの揺れも音色の無駄な艶も無い表現で、他の団体とはやっぱり違うと思わせる。このチャイコらしい大げさな曲はそういう節度ある表現にはけして似合わないのだが、しかしこの団体ではそれができてしまっている。ライヴを聴きに行きたくなる演奏。もういないけど。○。
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