○ランパル(fl)ピエルロ(o)ウーブラドゥ指揮パリ室内コンサート協会(EMI)1953/10・CD
50年代にしては音が悪い気もするが不世出のフルーティスト、ランパル全盛の確からしさに沿うようにピエルロ、バックオケが明快なアンサンブルを組んでオネゲルでも余り知られていないこの曲の、知られていない由縁である構成の弱さを吹き飛ばすかのように、一貫した演奏を繰り広げている。オケはフランス風のアバウトさを持ちつつも、書法の要求するデジタルな古典派的表現をしっかりとれており、協調性もあってそれほど悪くはない。1楽章が六人組の牧歌的世界をそのままに美しい。2楽章でショスタコ風の暗さが現れてもはっきりした演奏スタイルがそちらの歌謡的な晦渋さに寄せることなく、オネゲル特有のメカニズムに耳を惹かせるから割と集中力をもって聴き通せる。3楽章ははっきりオネゲルのシンフォニズムがあらわれ合奏協奏曲の魅力を見せ付けるものだが、やや音楽の力が弱いせいか、いつものこととも言えるけれども、尻切れ蜻蛉にも感じる。いずれ殆ど忘れられているオネゲルのシンフォニーや管弦楽曲、オラトリオなど大規模作品「以外」の作品としては、一流とは言えないが確かに、この面子では聴き応えがある。○。