湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

プーランク:二台のピアノと管弦楽のための協奏曲

2010年12月17日 | フランス
作曲家、クロシェ(P)ミュンシュ指揮ボストン交響楽団?(DA:CD-R)1961/1/21live

プーランクのピアノははっきり言ってうまくない。後ろ向きにテンポを調えて硬直した遅い演奏になりがちで、恐らく技術的限界が背景にあることは想像に難くない。録音がステレオではあるのだがインホール録音に近く二台のピアノの音がいずれも引っ込んでしまいほとんど聞こえない。前へ向かおうとするミュンシュとのアンマッチもある・・・このミュンシュの芸風に揃えてくれればカタルシスが得られたのに!「グロリア」初演の中プロとして演奏されたもの。無印。
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ルーセル:交響曲第3番

2010年12月17日 | フランス
○ミュンシュ指揮NYP(DA:CD-R)1967/2live

ミュンシュのルーセルにハズレなどあるわけがないのだが、この気合い満点の演奏をもってしてこれはひときわ、数あるライヴ記録の中でも第一級の記録である。ステレオだがややノイジーで非力な録音のため◎にはできないものの、思わず一緒になって歌い足を踏み鳴らしてしまう、迫力の記録。融通ムゲなオケが素晴らしい。
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ドビュッシー:前奏曲集第一集~1、6、11、12

2010年12月17日 | ドビュッシー
○バシュキーロフ(P)(melodiya)LP

バシュキーロフのドビュッシーにはライヴの前奏曲集抜粋(1-10沈める寺、1-6雪の上の足跡、1-9とだえたセレナード、2-3ヴィーノの門、2-12花火)もあるが、合せて9つがメロディヤ正規録音の全てとなる。こちらはスタジオもので、デルフィの舞姫、雪の上の足跡、パックの踊り、ミンストレルが順番に収録され、裏面にはプロコフィエフの8番ソナタが入っている。演奏は即物的だがやはり非常にすぐれた技巧をきらめかせており、音符の詰め込まれたパセージや、躍動的な楽想で最もその威力を発揮している。いささかの曇りもない表現に違和感や浅薄なものを感じる向きもあるかもしれないが、ソヴィエト様式のドビュッシーというか、プロコフィエフを聴くように楽しめるものとして評価したい。非凡なソリストである。
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ミヨー:オーボエ協奏曲

2010年12月17日 | フランス
○ヴァンデヴィル(Ob)スーザン指揮ORTFフィル(barclay,INEDIT)LP

比較的晩年の作品で筆のすさびのようなものの多い中、協奏曲と言う点を除けば無難な牧歌的小品に仕上がっている。

協奏曲のジャンルに並ならぬ情熱を注ぎあらゆる楽器の組み合わせで書いていたミヨーだが、いずれの作品も楽器をよく知り特質を引き出しつつも自分の作風をはっきり打ち出すという高度なわざを見せ付けるものになっているが、ここでもオーボエという楽器の懐かしく輝かしい音色を技巧的パセージを織り込みつつも表現させてゆく手腕が鮮やかである。

ヴァンデヴィルは舌を巻くほど上手い。相対的にバックオケが貧弱過ぎると思えるほどにである(音はどちらとも暖かくよい)。終楽章などオーボエなの?というような技巧的なフレーズも気合一発吹き飛ばしている。明るく軽快な演奏を楽しめる。○。
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ヒンデミット:序曲「キューピッドとプシュケ」

2010年12月17日 | ドイツ・オーストリア
○セル指揮クリーヴランド管弦楽団?(DA:CD-R)1967/4/21live

時期からすればちょっと録音は貧弱だがセルの職人的なバトンスタイルが機械的なヒンデミットにぴたりとハマって「こういう曲には向いてるよなあ」と思わせる。派手なところはないが曲自体が比較的派手で耳なじみよいためこのくらいがちょうどいい。○。
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ミヨー:弦楽四重奏曲第12番

2010年12月16日 | フランス
○イタリア四重奏団(columbia/URANIA他)CD

音程感などいろいろ文句をつける向きもあるかもしれないが、「歌うタイプの演奏」はこれでいい。「曲構造をえぐり出すタイプの演奏」ではないのだ。うららかなプロヴァンス民謡を1stにとことん(高音で)歌わせ、複調性で重なる伴奏系は静かに引っ込ませ、エキセントリックさを出さないようにするやり方は、この曲にはあっている。○。
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ネットクラシック愛好家の文章傾向

2010年12月16日 | Weblog
クラシック愛好家には、その楽しみ方によって「階層」がある。

(1)頭で聴く「分析理論派」
(2)頭と体で聴く「批評体質」
(3)体で聴く「快楽主義派」
(4)体と心で聴く「昔ながらの愛好家気質」
(5)心で聴く「文学派」

※「頭で聴く」は何も楽理的な面だけを指しているのではなく、「作曲家の歴史文化的背景」「作曲技術」「演奏」(音盤では「録音」「マスタリング」「録音媒体」「再生」それに「骨董品としてのレコード」)いずれかの学究的行為を中心に「聴く」ことを指している。

そしてその書く文章を見ていると(3以下は必ずしも音楽批評を書くべきではないけれど)、パターンがあることに気がつく。

・楽語を駆使して書かれるプロないしセミプロ級の分析家
・オーソドックスな評論形態というかんじの「程ほど分析ほど程知識」な随筆家
・そして完全なるド素人の印象批評家、、、

私もすっかり楽器から離れスコアや譜面を見なくなるうちに、上記「セカンド形態」にすら達することが出来ず、(不本意でもないのだが)「サード形態」にハマっている。特に最近の文章傾向を見ていただければわかると思う。

ネットなんてなんでもありなわけで、読みやすいものを書けばいいというものでもないと思う。随筆を読みたい人もいればそういうのはいいからと思う人もいる。私は自分は随筆を書きたいとはひとかけらも思っていない。

うちは情報量勝負であり、文章は付け足しだ(データを提示しているだけだ)。なので「サード形態」でも構わない。ただ、音盤の状況であったり収録内容の客観的な評価指標・・・ライヴなら拍手はどんな感じだったか、指揮者の鼻息は入っているか、とか・・・筆者は高弦だったので管楽器の誤りやとちりにかんしては知識不足や勘違いを防ぐため敢えて評価基準に入れていないし触れもしないけれど・・・については載せている。

なんてことを・・・久しぶりに音楽批評系愛好家ブログを見て回っていて思ったのだ。

うちはちょっとよそとは違うブログなのです。

悪い意味で。
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ミヨー:弦楽四重奏曲第3番

2010年12月16日 | フランス
○ディエシー(Msp)パリジー四重奏団(naive)CD

前二作とはまったく違って、無調の世界に突入している。レントの2楽章からなり、二楽章には女声独唱が入るということからも「シェーンベルク・ショック」の背景は自ずとあきらかである(ミヨーは「月に憑かれたピエロ」パリ初演も担っている)。だがこの歌唱部分はシェーンベルク式の厳しいものではなくサティまで想起する比較的メロディアスなもので、もちろん弦楽四重奏は無調的な耳障りの悪い響きを静かにうねらせているのだが、ちょっと中途半端な感がある。1楽章はひたすら晦渋。演奏はこんなものだろう。○。
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ミヨー:弦楽四重奏曲第9番

2010年12月16日 | フランス
○パリジー四重奏団(naive)CD

作曲家が「曲数において」意識していたというベートーヴェンの弦楽四重奏曲を思わせる厳しさを持ち合わせた4楽章制の曲で、ミヨーらしい楽天的な主題から始まるものの最後はヤナーチェクかというような重いやり取りのうちに幕を閉じる。けして楽しい楽しいの曲ではないが、たとえば3,4番などにくらべると「らしさ」が垣間見えるところはプラスに感じられるだろう。演奏はこの曲にあっているように思う。冷たく重い音がうまく、わりとドイツ的な曲が得意なのかもしれない。○。
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ミヨー:弦楽四重奏曲第4番

2010年12月16日 | フランス
○パリジー四重奏団(naive)CD

パリッシーと英語式に表記していたがどうやらパリジーとのことなので直します。この曲は3番に引き続き晦渋な様相をていしているが、3楽章制をとっており、楽想も決してわかりにくくなりすぎないところにミヨーの楽天的な特質が残っている。複雑な構造は演奏的にはけっして技巧的ということではないので、この前に収録されている12番にくらべ落ち着いて曲の内面に入り込める演奏にはなっている。ものの、やはり若いというか、硬質な音で小さく機械的に組み立てるようなところも否めず、このような曲では別にそれでも構わないとはおもうが、もう一歩踏み込みが欲しいか。
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ミヨー:弦楽四重奏曲第12番

2010年12月15日 | フランス
○パリジー四重奏団(naive)CD

ミヨーの極めて美しいミニアチュールだが、演奏が現代的過ぎるというか、もう少し柔らかいニュアンスが欲しい。気合いを入れないと弾けない超絶パセージがあるのは認めるが、技術面を多少おろそかにしても曲に「入り込む」余裕がほしい。技巧は闊達だが。。○にはしておく。
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ウォルトン:チェロ協奏曲

2010年12月15日 | イギリス
○フルニエ(Vc)作曲家指揮ロイヤル・フィル(Arlecchino)1959/8/12live・CD

堂々たるもので輝かしい音で磐石のフルニエにすべらかにつけていく作曲家の棒、ノーブルで美しいオケの響きもろとも、小粒ではあるが完成度の高い演奏になっている。ライヴならではのスピードが胸のすく思い、丁々発止のやり取りが作曲家指揮モノにしては結構うまくいっており、録音が悪いのが惜しまれるが、○はゆうにいく。こういうものを聴くとヴィルトーゾの演奏が凡百のソリストのそれとはまったく違う次元にいることがわかる。またピアティゴルスキーのような「冷たい」演奏家ではこうはいかなかったろうことも思わせる。
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フランツ・シュミット:歌劇「ノートルダム」1幕への前奏曲、間奏曲、謝肉祭の音楽

2010年12月14日 | ドイツ・オーストリア
○ハラツ指揮ブダペスト交響楽団(marcopolo)CD

この組み合わせないし、ヌルい間奏曲のみ演奏されることが多い。楽曲は1910年代のウィーンの楽壇を彷彿とさせる実にぬるまゆい感触のもので、同時代の非前衛の作曲家たちとほぼ同じような、いわば末流ワグナー的な世界を旋律美とともに描き出している。メロディでいえば間奏曲第一部など印象的ではあるのだが、フランツの理知的な特質がはっきり出ているのは謝肉祭の音楽で、起伏にとんだ内容となっている。演奏はやはり弦が弱すぎる。前奏曲は聴くにたえないところがある。一方でブラスは安定しており、木管は棒吹きの感もあるもののまずまずである。謝肉祭の音楽がなかなかいいので○。
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フランツ・シュミット:交響曲第1番

2010年12月13日 | ドイツ・オーストリア
ハラツ指揮ブダペスト交響楽団(marcopolo)CD

ブルックナー初期交響曲を歌謡曲で煮染めたような曲だが、陰りのない音楽には魅力がある。だがここではややオケの力に難があり、弦楽器の薄さはカバーしきれるものではなかったようだ。各声部剥き出しで対位法的パズルを組み立てて行く、指揮の手腕はなかなかのものだが田舎オケの印象、またウィーンらしい表現の欠如は否定できない。平坦だ。無印。

※データ修正しました
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ヴォーン・ウィリアムズ:弦楽四重奏曲第2番「ジーンの誕生日に」

2010年12月13日 | ヴォーン・ウィリアムズ
○マッジーニ四重奏団(naxos)CD

ジーンに捧げられたのは厳密には終楽章である。偶数楽章のロマンチシズムと奇数楽章のささくれ立った現代性が対比的に示された作曲家晩年の境地をよくあらわしている作品だ。ここでも同楽団の技術の高さと演奏精度へのこだわりがはっきり聴き取れる。響きへのこだわりは尋常ではないが、録音が新しいために響きのバランスが本来あるべきバランスと離れちょっと耳を衝く様なエキセントリックさを帯びているのは気になった。あと、2楽章はバグパイプかオルガンを模したノンヴィブの重なりが全ての鍵になる楽章だが、譜面どおりではあるのだがちょっと雰囲気が足りない気もする。○。
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